第32話 32
あなた、日本語が分かる。
私は分かる。だって日本人だもの。でも大切なことは言葉が分かるか分からないかじゃないわ。ほんとに大切なのは気持ちが通じ合ってるかどうかよ!
ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。
愚かにも私は私の言葉の能力を知らなかった。でも新しいことを一つ学んだ。私自身が知らなくても、他の誰かが知っていれば助けてくれると。私は心から助けてくれた人に感謝した。
「ハーフさん!?」
す、すごい!? 一撃!? 一撃であんこを吹き飛ばし、眠れる学校の生徒たちを目覚めさした!? 私の窮地を救ってくれたのはハーフさんだった。ハーフさんは自分の言葉に能力を宿すことができる言葉を知っている。私は同い年だけどハーフさんを私よりも年上の大人に感じた。
「私の邪魔をする者は爆破する。爆破したい。爆発こそ正義! 爆破こそ美学!」
それがハーフさんのワードズ・オブ・アウェーケニングなのね!? 詳しいことは知らないけどハーフさんは化学が好きなのよね。ちょっとテロリズムが入っているけど私の命の恩人には変わりない。
「あ、あの・・・ありがとう。」
「早く家に帰って最強の歯科助手のみなみちゃんのアニメの再放送を見るの。」
そ、それだけ!? それだけの理由で2日続けて学校を吹き飛ばしたの!? ダイナミック過ぎるわ、ハーフさん。去って行く後姿を感動して眺めている私にハーフさんが振り返って言った。
「私たち友達でしょ。」
え? ええーーーーーーー!? 今、何て言ったの!? と、と、友達!? ハーフさんが私のことを友達って言った!? 私はハーフさんと友達になれたんだ! そのままハーフさんは校門から去って行った。
「・・・。」
私はハーフさんにありがとうとか、私たち友達よね? とか友達トークをしたかったが、どうやら薄皮ヨモギの時間は終わったらしい。勇気の無い元の私に戻ってしまったらしい。何もしゃべれない私にハーフさんに後ろから声をかけることはできなかった。
「・・・。」
それでも高校入学4日目で私に友達ができた! ああーこんなにうれしいことはない! 私にも友達がいるんだ! うおおおおおおお! なんだか青春してるぞ! 私の胸はそれだけで高鳴った。
「どうだ? これが高校だ。なかなかいいもんだろう。練習試合にも勝利したし、さすが俺の秘書だ。俺が見込んだだけのことはある。ワッハッハー!」
人がピンチの時に寝ていただけのクセに! 私は飛び散っている学校の鉄筋を軽く持ちひょん教の頭に叩き込んだ。これで8日の眠りどころか、永遠に眠り続けるだろう。悪の教祖を倒し世界に平和が訪れた。
「ハハハッ! みなみちゃん面白い!」
お家に帰った私は明日ハーフさんとおしゃべりするためにアニメの再放送を見て笑っていた。
つづく。
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