第44話 44

あなた、どういう時に目が覚める?


私は朝になると目が覚めるわ。それなのに授業が始まっても関西弁のロボットの横のお嬢さんは爆睡している。代わりにロボットが授業を受けているのは有り?


ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。


きっと私は私の想いの宿った言葉を見つけた。今の私は小さくてみすぼらしくて弱くて何もできないかもしれないけれど、未来への希望を手に入れたような気分だった。


「薄皮さん! 今日も部活に行きましょうね! 私たち部友でしょ!」


演劇さんはいつでもどこでも大好きな歌劇団部のことを考えている。私はいつから歌劇団部に入部したんだろう? そんな感じだけど私は放課後には体育館に行って部活動するのであった。だって演劇さんと部友だもの。


「薄皮さん! 祐名はんとも友達になってや!」


うわあ!? 関西弁のロボットがやって来た!? ていうか、このロボットは何なのよ!? ちなみに私には関西人の友達はいない。ちょっと関西弁が荒々しいので怖いと思ってしまった。ひょん教が言っていたが本当に私のクラスはアホと殺人者の集まりなのだろうか・・・。


「わいの名前は明治天皇。なんでそんな名前になったかは明治神宮が近いからとしとこ。もしハチ公像の側やったらスクランブルハチ公とか変な名前になっていたと思うで。」


いあ~明治天皇も十分変な名前なんですけど。それならスクランブルクロスハチ公Zとかの方がカッコ良かったんじゃない? ・・・おっと!? いけない!? 私としたことがいつもの悪いクセで細かいことを悩み続けてしまった。


「で、こちらの寝続けているのがわいの主の森田祐名はん。祐名はんは通称眠り姫やで。精神状態が不安定なため一日の半分以上は寝てる。もちろん学校公認の授業中の睡眠やで。どうや? 羨ましいやろ?」


学校公認の授業中の睡眠っていったい・・・。そうか!? 精神状態が不安定になるぐらいの不幸な生い立ち! そして過酷な人生を送ってきたに違いない! そして自分を冬眠状態にすることでなんとか生きながらえているんだわ! そうに違いない! 私は悩み抜いてのお眠りさんの結論を出した。


「・・・たい焼き・・・むにゃむにゃ・・・おいしい・・・むにゃむにゃ。」


・・・私の悩んだ時間を返して。どこが精神状態が不安定なんだよ!? 気持ちよさそうにたい焼きを食べてる夢を見ているだけじゃないか!? 叩き起こしてあげようかしら!? ・・・やめた。こんなことで覚醒するのはもったいないわ。関わらなければいいのよ。関わらなければ。


「薄皮さん。部活に一緒に行こう・・・あれ? いない?」


フフフッ。私は演劇さんの目をかいくぐり授業終了と共に全力で教室から姿を消した。朝もそうだけど私の教室は1階にあるみたい。それなら窓辺の私の席から窓に飛び降りて脱出しても辻褄が合うわ。ウッシッシ!


「待っていたわよ! 薄皮さん!」


私の放課後はまだ終わらない。校門でアンコ、ツブコ、ズンコが私と一緒に帰ろうと待ち構えていた。


つづく。

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