第49話 49

あなた予想外の出来事ってある?


私はある。正確には私にはこれから予想外の出来事が降り注ぐ。人生とは私の思い描いた通りに順調に進まない。前途多難である。はあ・・・。


ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。


私はこれまでに三人と一体のロボットと友達になれた。また三人の宿敵を倒してきた。普通に考えれば、この展開が続いていくと思っていた。


「薄皮。そろそろ始まるな。」


はあ? 何が? 頭おかしいんじゃないの? ひょん教。主語が無いと相手には話は伝わらないっーの! 小学生でも知ってるわよ! 私は放課後を職員室で過ごすことになった。それは私が委員長をさせられている製作委員会の委員会室が職員室にあるからだ。私はそれを受け入れた。


「薄皮さん、ノートありがとう。私たち友達。」

「薄皮さん!? どこ行った!? 歌劇団部に入部して!」

「zzz。」

「薄皮はん。祐名はんを起こしたら祟られまっせ。へっへっへ。」


ハーフさん、演劇さん、お眠りさんと関西弁のロボットのクラスメイト3人と1体から逃げるように私は職員室にやって来る。これはいじめから逃げているのではない。得体の知れないNJKから逃げているのである。あと得体の知れないクラスメイトが20人以上いると思うと怖い・・・。


「・・・。」


昔は、教師なんて生徒を見捨てるし、教育委員会やPTAの偉いさんの顔色しか見ない偽善者でコネで教師になれた公務員教師ばかりだと思っていた。職員室なんて悪の巣窟だと思っていたが職員室に長い時間滞在することで先生方も雑務に追われ口から火を吐いたり机で寝込んで動かない半死状態だと知ったら、憎たらしい教師共も可愛く見えた。一人を除いて。


「薄皮。製作委員会の全国大会の前哨戦で東京都大会の予選が始まるぞ! まずは渋谷区の予選に勝って渋谷代表になるんだ!」


私のクラスの担任であり製作委員会の顧問であるひょん教。もう本名は忘れた。ひょんな教師を略してひょん教にしたとは覚えているのだが・・・。こいつは世間の教師不足で契約公務員であり、製作委員会で優勝して高校に貢献して正規公務員になるという邪悪な野望を抱いている今時の悪い教師である。はあ・・・大人って嫌い。


「・・・。」


まあ、いいわ。私の悩み事の実力を持ってすれば余裕。それに我が渋谷塚高校にはハーフさん、演劇さん、お眠りさんという強力な仲間がいるわ。見ていなさい! ひょん教! 渋谷区の予選どころか東京大会もお茶の子さいさいと優勝してあげましょう! ワッハッハー!


「薄皮。顔が引きつっていて怖い・・・。」


何とでも言いなさい。勝てば官軍負ければ賊軍ってね。手柄を立てて出世してしまえばこっちのもんよ。私が優勝してひょん教が薄皮ヨモギ様と土下座をして、私を拝み倒している姿が目に浮かぶわ。ワッハッハー!


「あ、言い忘れていた。薄皮。渋谷区の予選は各校1名しか出場できないから頑張れよ。」


え? 今なんと? ・・・ガーン。私は一瞬で地獄に突き落とされた。


つづく。

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