第54話 54
あなた、尻は軽い方?
私は超軽い方。サイバーセキュリティに備えていたけど、次のお題が電撃だと分かると、あっさりとくっ付けた。さすが私だ。自我自賛。
ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。
悩みに悩んで悩み続けてきた私にとっては2つを1つにくっ付けてストーリーを面白くするなんて朝飯前だわ。ウッシッシ。・・・んん!? 私はウッシッシ笑いをする人だったかしら? きっと性格の悪い和菓子三姉妹に取り憑かれているから性格の悪さが伝染したのかもしれない。私に除菌剤と消臭剤を振りかけなくっちゃ。
「お、薄皮。いよいよ予選が始まるぞ。予選のお題も電撃サイバーセキュリティだ。決勝に進めるのは最後の2人だけだ。薄皮。俺はおまえを信じているぞ。」
誰が騙されるもんか! もうこのパターンはやめよう! ひょん教が自分が正規公務員になるためのポイント稼ぎに製作委員会で優勝して学校の名前を売って恩を売ろうという邪な野心は迷惑だ!
「・・・。」
・・・はあ・・・はあ。私としたことが少し興奮してしまった。反省、反省っと。冷静に製作委員会のお題の電撃サイバーセキュリティに悩むとするか。渋谷区の高校は32校あるが、どう見ても私を含め9人しかキャラクターがいないとして、この内の2人が決勝に進出するはず。悩み所は私と戦う決勝戦の相手に誰を残すかね。
「それでは製作委員会渋谷区予選を開始します。参加者の皆さんはスタートラインで待機してください。」
スタートライン? 待機? んん? 司会者の人は何か勘違いをしているんじゃないかな。だって、これは議論と討論の製作委員会でしょ? どうしてスタートラインが必要なんだ? 徒競走をする訳でもあるまいに。ワッハッハー!
「ルールを説明します。皆さんには製作委員会の会場として、電脳世界に入ってもらいます。ちなみに電脳世界とは、ネットの世界です。入り組んだ迷路になっていて、トラップや障害物などの様々な障害物を抜けて論戦を生き残ってください。後方から電撃が近づいてきますので、触れられたら失格です。ちなみにゴールはありませんので、勝者2名が決まるまで体力の限り論戦しながら逃げまくってください。」
おい、最近長台詞が増えたな。様子見の形式的な展開でなく、会話で説明をしてしまおうという邪な心が私には見える。ルール説明なんかいらないから、女子高生たちに適当にギャル会話させとけばファンは喜んで人気が出るんだから。まあ、人気投票をしても私が1位なのは間違いない。そこは悩む必要が無い。
「これで俺も正規公務員だ!」
「いい! 3人で薄皮さんをマークして最後に一人が薄皮さんを道連れにして、私たちの中の2人が決勝進出よ!」
「決勝は私に任せて! あんたたちが死んでよね。」
「嫌よ! 私も決勝に出たい!」
「おお! 予選から青春らしくなってきましたね!」
「いい! あそこの3人組の様に見苦しいことはやめよう! 私が犠牲になるからみんなは決勝に進出して!」
「私も犠牲になる!」
「私も人柱になる!」
「うお! 猛烈に感動した! これが青春だよ! 絶対にみんなで優勝しようね!」
「おお!」
様々な人間の様々の意志が入り乱れる製作委員会の予選が始まろうとしていた。
つづく。
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