第65話 65

あなた、少し変だと気づかない?


私のテーマは、悩み。マニアックでしょ? ・・・違う!? 私が言いたいのは青春特有の思春期の悩みにラノベ路線をミックスさせた混沌(カオス)に進化した・・・いや、それも違う。


ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。

NJK(何か取り柄のある女子高生。)

「解決(ソルーション)!!!」


なんだろう? 上手い言葉が見つからない。悩み事を他人に伝えたり、誰かに分かってもらいたいけど、なかなか伝わらない。ああ!? なんて言えばいいんだろう!? この手を伸ばせば届くのに、手を伸ばしてあなたに触れられない感覚。触れれば、一言、好きだと告白すれば愛し合えるのに、一言が言えないばかりにラブストーリーが始まらない。変だと気づけー!!!



「薄皮。」


「薄皮。」


「おい? 聞いているのか? 薄皮。」


毎度おなじみ製作委員会のある職員室。私は椅子に座って悩み事をしている。これが至極の時間であり、悩むことで自分の世界に入り浸ることが大好きだ。他者と関係を断ち切る妄想と混沌の悩み事の世界、それは自分を守ることにもつながり、自律神経のバランスを保ち自分の精神の安定にも一役買っている。みんな、悩もう。ちなみに顧問のひょん教が私に呼びかけているが、悩み事バリアで何も聞こえない私は無視しているのではなく、聞こえていないだけである。決して悪意はない。


「戻ってこい! 薄皮!」


痛い!? 何事!? 敵襲か!? 周囲を見回した私は歴戦の悩み事の経験から瞬時に状況を把握した。私はひょん教が丸めた教科書で殴られたのだ。これは教師による学生に対する暴力だ。教育委員会に訴えてやる。でも教育委員や校長が生徒の保護者の母親とわいせつ行為を強要して公になったら懲戒免職される時代に、私たち生徒は何を信じたらいいのやら・・・。げっそり。


「お目覚めか? 薄皮。目を開けたまま悩むな。気持ち悪い。」


おお!? 私は悩み事をしている時は目を開けているのか。それは初めて知ったな。なにかカワイイ悩み事ポーズが必要だな。でも少し変だな。ひょん教が私と間合いを取っている? ・・・そうか。前回、私の混沌(カオス)を食らって地獄に落としたのが相当懲りているな。ひひん~。・・・やめよう。ニヤッと調子に乗って笑うのは私のキャラクターに似合わない。深い悩み事を抱く者は常にクールビューティなメガネ女子でなければ。


「薄皮。遊びの時間は終わりだ。」

「???」

「いよいよ始まるぞ。東京都大会が。」

「!?」


ついに始めるのか!? 製作委員会東京大会。あれだけ激しい渋谷区予選を突破した私なら東京都大会も楽勝。私にとっては製作委員会よりも、どうして右手は右なのか!? どうして左手は左なのか!? そっちの方が混沌(カオス)な難しい悩み事だわ。


「薄皮。おまえは渋谷区代表として製作委員会大会に出場し、渋谷塚高校の名前を世に知らしめて。俺を正規公務員にしてください! ワッハッハー!」


ひょん教のスピンオフ作品は読みたくないわ。絶対、家でミジンコを飼ってるタイプね。教師なんて、イモね。


つづく。

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