第35話 35
あなた、入部テストを受けたことがある?
私はこれから受ける。自分が入りたい部活なら仕方が無いけど、ドラマ化アニメ化された時のエンディングのためだなんて信じられない。ひょん教、殺す!
ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。
まだ高校生になったばかりの私は、中学校までのことはああなってこうなっては分かるけど、高校から先の未来は分からない。どうかこれからも楽しく悩める人生でありますように。
「渋谷~! それはハチ公!」
「渋谷~! それはモヤイ!」
「渋谷~! 渋谷~! 渋谷~~~!」
「・・・。」
な、な、なんじゃこりゃ!? 私は演劇さんこと佐藤さくらに連れられて歌劇団部の活動拠点である体育館にやって来た。煌びやかで高貴で華やかステージで歌劇の練習をしている部員たちを見た私の第一声は化け物を見たような感じだった。
「どう? これが私の歌劇団部よ。」
どうって・・・厚塗り化粧に、大きな羽のランドセル・・・恥ずかしくないの? それにシャンデリアに大階段・・・電気代をどれだけ使うと思っているの!? まさか!? 入学金や授業料が高いのはこいつらの維持存続のためじゃないでしょうね!?
「どうした? さくら。」
「あ、刃覇。」
また変なのが現れた・・・。黒い燕尾服を着た男だ。・・・んん!? うちの高校は現在女子高のはず? ということはこいつはオカマ!? いや! 違う! 女が男を演じているというのか!? 何というマニアックな趣味だ・・・。
「クラスメートの薄皮さんが演劇部に入りたいって言うのよ。」
「おお! 入団希望者か! それは頼もしい!」
いえ、違います。入団希望者ではなく、強制的に入団されられそうになっているだけです。どうして私の意志とは関係なく私の物語が勝手に進んで行くのよ!? あなたたちもスムーズに話を進めないで!?
「困ったな部長がお休みなんだ。」
「残念ね。薄皮さんの入団テストをすることができないわ。」
ラッキー! それでいいのよ! やっぱり私の人生は私の思い通りにならないとおかしいじゃない! とりあえず演劇さんの顔を立てて入部できなくて残念なフリをしておきましょう。残念ラッキー!
「そうよね。残念よね。薄皮さん。渋谷塚高校歌劇団部は演劇が好きで本家の塚音楽学校を受験するも倍率40倍で受かることができなかった生徒が、いつかステージで大女優になることを夢見て入学入部する由緒正し部活なのよ。」
迫真の演技ね。演劇さんはちょっとでもスイッチが入るとセリフがミュージカル調になるのね。そういえば壁に「ハチ公、モヤイ、渋谷です。」というキャッチフレーズが貼ってあったような・・・。
「見つけたわよ! 薄皮ヨモギ!」
その時、「意地悪く、汚らわしく、不細工」な松濤高校の自称お金持ちのお嬢様で性格は最悪の道明寺アンコが仲間を引き連れて二人で体育館に現れた。
つづく。
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