概要
遥は願う。また、母親に会えますようにと。
しかしその願いも虚しく、ただ時間だけが過ぎていく。
高校三年生になった遥は、元気にネガティブな思考を抱えて生きていた。
どこか物足りなく。
どこか投げやりで。
クリスマスを控えたある日の放課後、幼馴染の天鳥カナタから、運命の選択を迫られる。
「もし過去に戻れたらさ、何がしたい?」
まだ母親が女子高生だった時代へタイムスリップしたら、よくあるように帰れない。
しかもどうやら、同じ四日間を繰り返しているらしい。
タイムトラベル×タイムリープ
時をかけた先で待っている、すこし不思議なラブコメディ。
大丈夫。
ハルカナコンビは
無敵だから。
プロローグを分けてましたが、しっくりこな
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!エピソードの積み重ねを、ストーリーだと思っている方へ……。
この作品のもっとも素晴らしい点はストーリーです。
文章も上手いです。キャラクターの配置もいいです。作品として面白いです。でも、僕はあえてストーリーに注目していただきたいと思います。
ストーリーこそ、着想、キャラクターと並ぶ小説の三大要素です。起承転結。あるいは物語の必然的な帰結。それは過去の偉大な作品に共通する必然的な要素であったはずです。
今はなぜか軽視されているストーリー展開を、高いレベルで実現していることこそが、この作品の最大の魅力だと思うのです。
着想と世界設定を考えれば、あとはテンプレ通りにエピソードを重ねていけばいい。そういう小説とは一線を画するものが、この作品にはあ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!読み終わって、もう一度読み返したくなる。そんな素敵な物語。
幼い頃に母が行方不明になった男子高校生・遥。
クリスマスの直前、幼馴染のカナタに「過去に戻れるんだったら、ママに会いたい?」とタイムトラベルに誘われ……。
しかも、タイムトラベル先にいたのは、まだ女子高生の母親で!?
……正直、サブタイトル詐欺だと思いました。
サブタイトルは軽いけど、作者様の技量で読み味も軽めの文章だけど、中身はむしろあったかくて、じんわりきて、エピローグでは思わず涙ぐんでしまいます!
もう、「遥から彼方まで」というタイトルが秀逸すぎる……。
後半に行くにつれ、作者様がノッて書いているのが伝わってくるような文章で、そこに込められた熱が、読んでいるこちらの胸まであたたか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!遥から彼方まで届く想いの輪に脱帽です。
ちょっとした希望で、幼い頃に居なくなった母親に会いに行ったはずだったのに。気が付けば、繰り返す時の中に閉じ込められてしまった主人公と幼馴染。
一体何が起こっているのか。
時を超える超技術は何なのか。
何度も何度も通り過ぎた先で、二人は元の時代に戻ることができるのか。
キーとなる、母親や幼馴染との過去の秘密。
そして抱いてしまう恋心や振り回される気持ち。
いくつもの気持ちが詰まって、それが絡み合う構成は素晴らしく魅力的でした。
その先に待っていた幸せを求めて。
届き繋がって行く想いの輪に触れてみて欲しい。
是非最後まで読んで、彼らの想いを見届けて欲しい。
そう思える贅沢なSF青春ものでし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世界の終わりと繰り返す過去、そして希望を繋げる未来の物語
幼い頃に自分の前からいなくなった親に会いたい──
その思いがすべての出来事のきっかけとなり、遥か彼方の未来に幸せな変化をもたらしていくSF(すこしふしぎ)な物語です。
クリスマスイブに、気になる女の子とデートをしていた遥は、地震によって引き起こされたとある事故に巻き込まれます。あわや大惨事となる寸前に遥を助けたのは、幼馴染のカナタ。
けれども、カナタが遥を助けた方法とは、時空移動装置を使って過去に飛ぶという超荒業でした。
飛ばされた先は1999年12月21日。二人は後に遥の両親となる高校生のリムと暁に出会いますが、リムは何故か遥にべったりと迫ってくるという、往年の名作SF映画のようなド…続きを読む - ★★★ Excellent!!!時を駆ける親バカ……もとい、親子愛の物語
まるで劇場版アニメを一本観終わったかのような読了感が得られる、映像の喚起力に溢れたエンターテインメントSF小説だと思います!
その中核をなすのは「親子愛」であり、ぜひご家族揃ってご覧頂きたいと思いながらも、性描写があるからなぁと思い直し、いやいや、それがなければ親子も何も存在しないわけで、なるほど、だからこその性描写なのかと新たな発見もあり……ともあれ、本作の面白さは特異なシチュエーションを楽しんで終わりというものではありませんから、どうかじっくりと、最後までお楽しみ頂ければと思います!
……といっても、前述の通り「エンターテイメントSF小説」なので、どこか懐かしいSFネタの数々を楽しむ…続きを読む - ★ Good!たくさんの別れから出会う物語
キャラクター愛がすごいです。
でも作者が抱く、どこか世界に対する憂いのような視点を全編を通して感じました。
ディストピアのようなざわりとした感触を時々感じながら、この不可思議な物語は進んで行きます。
その世界に真っ向から抗うのではなく、世界の形を受け入れながら、超えていくものは人が繋ぐ想いだけだと言うように。
時に人物に執拗に寄り添う姿勢が貫かれますが、エピローグでは見事に、それまで織りなされた時間の行き着く先を見せて頂きました。
この静かな感動は、タイムトラベル、ループ、SFをハルカナと共に越えて来なければ、味わえないものだと思います。
多くの謎が転がっているお話なので、ミステリー派と…続きを読む