たくさんの別れから出会う物語

キャラクター愛がすごいです。
でも作者が抱く、どこか世界に対する憂いのような視点を全編を通して感じました。
ディストピアのようなざわりとした感触を時々感じながら、この不可思議な物語は進んで行きます。
その世界に真っ向から抗うのではなく、世界の形を受け入れながら、超えていくものは人が繋ぐ想いだけだと言うように。

時に人物に執拗に寄り添う姿勢が貫かれますが、エピローグでは見事に、それまで織りなされた時間の行き着く先を見せて頂きました。
この静かな感動は、タイムトラベル、ループ、SFをハルカナと共に越えて来なければ、味わえないものだと思います。

多くの謎が転がっているお話なので、ミステリー派としては、もっとハトから情報引き出せよ、今のちょー引っかかる台詞、もっと気にした方がいいんじゃ・・と思う点がわりとスルーされたままな所に、余計に不安感を煽られた気がします。
これから読まれる方は、色々とハラハラすることでしょう。

あと、本編とエピローグの暁さんがギャップ萌えです。

よく考えると別れの多い物語です。

それでも未来に微かに、たしかな明かりの灯る物語でした。

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