独特の世界観をいつの間にか、納得して読んでいる自分がいました。
もう、タイトルが好き。
面白うございました。
ありがとうございました。
前編のヒリヒリさにほほぅ、と背すじが震えてから、想像だけで後半の展開に耐えられるのか自分、と数ヶ月の間を置いての読了です。
後編は前編に比べ、長く感じたのは場面が固定でシーン数的には少ないせいかもしれません。
文圧に想像力をはたかれる勢いでした。
厳しい現実の軋轢に消化されていく、個人の姿は他人事ではなく映ります。
身に降りかかる苦難のなかで、根性を見せてくれた主人公たちの、戦いに、こんなこと本当にあったら、怖い、と思っていた物語に、胸のすく気持ちを抱きました。
シンプルで静謐な空間に、リアルな手触りのする、けなげでまっすぐな青年と少女が息づく、他にはない魅力を持った作品だと思います。
今頃の感想となりました。これからも、がんばって下さい。
この感動はなんだろうと読後に問い、答えはすぐに見つかった。
一篇の映画を見終わった感覚そのものだ。スクリーンを食い入るように見つめ、周囲が明るくなって名残惜しさを抱えて立ち上がる、あの感慨だ。
全ての場面が映像として頭の中にはっきりと浮かぶ。特に終盤は少女と彼、それぞれのカット割があまりに鮮明に思い描ける。空の闘いの無音と少女の奏でる旋律まで耳に聴こえてくるようだ。
心象の描写も素晴らしく、指や手足の動きに顕著だ。ラストの指先から推し量れることは少なくない。
まだ語りたいが、あいにく余白がない。ただ、今作を読んで貴方の頭の中の映写機を回してくれと願うばかりだ。