第1話の世界観の作り込みが圧倒的だ。
「あらゆる仕事・趣味・活動が経験値になるVRMMO」という設定から始まり、VRが社会インフラそのものになった近未来の描写が非常にリアルで密度が高い。農業・医療・金融・スポーツ観戦まであらゆるシーンでVR技術が自然に使われている世界観が、数百字で説得力を持って描かれている。
特に際立つのが、キャラクリの場面だ。このゲームには「デメリット特性を取得すると経験値が還元される」というシステムがあり、主人公はそれを最大限に活用しようとする。エルフを選んで消費した経験値を取り戻すため「アルビニズム」(夜間活動特化でデメリット軽減)や「視力が弱い」を積極的に取得する——この緻密な戦略性が、ゲームの世界観に対する主人公の深い理解を示している。
「なるべく容姿を弄らずにポイントを取り戻す」という方針と、「美形」特性をそのまま残す(負けた気がするから)というキャラクターの自尊心の描き方も絶妙だ。
ゲームシステムと主人公の思考が噛み合う緻密さに、続きを読まずにはいられなかった。