職業、仕立屋。淡々と、VRMMO実況。を読ませて頂き有難うございました。私がこの作品を最初に発見したのはピッコマというアプリでした。あのアプリでゲーム世界というジャンルを淡々と漁り続けていた時にこの作品を読みました。初めはこの作品良さそうだな程度の感覚で読んでいたのですが、いつのまにかこの作品に引き込まれていました。ピッコマで出会ったのは二巻目が出る前でした。話読みで全部読み切った後にある時に別のアニメの深掘りとして作品を読んでみたいと思い小説家になろうに手を出したのが私がWEB小説に手を出した理由でした。その後は別の作品に出会い、全話読み、その小説の自己紹介欄を見た時にカクヨムで主に活動していると書かれていたのをみてはじめてカクヨムというサイトを知りました。私はカクヨムでさまざまな小説を読んでいるうちにこの作品に再び辿り着きました。それからは一話から完結まで読んでいきました。それまでの間私を楽しませてくれて有難うございます。これからの書籍化や小説家としての作品制作活動を細やかながら応援させていただきます。
「オンラインゲームのチャットルーム」は群像劇に最適のフォーマットなんだって、ご存知でした?
掲示板のコメント形式というフォーマットはWeb小説でのみよく見かけられる特異なものですが、ネット世代の読者層にとっては見慣れた形態。そして、大量のキャラクターが「一堂に会して」喋り続けることができるので、多方向の人間関係を描写しながら同時にキャラを立たせることができます。
多くのWeb小説では掲示板シーンを単なる「世論を示すおまけシーン」、「モブの会話」、果ては「モノトーンで主人公を褒めるだけ」のために使っています。しかし本作の場合、チャットルームの会話が作品の半分近くを占め、しかもそれが主人公を除く主要キャラクターたちの紹介の場であり、ゲームの情報提示の場であり、そしてキャラクター同士の関係性を見せる場になっています。何十人といる主要キャラクターたちがそれぞれの個性を発揮して、活き活きと罵り合い、情報交換し、陰謀を紡ぎ上げ、そしてそれぞれのサイドストーリーを進めていきます。
この構成が、「仕立て屋」というテーマとガッチリと噛み合っています。主人公のビビアは服飾職人。単に「強い装備を作るだけ」ではありません。掲示板でキャラを立たせたたくさんのキャラクターたち、さらにはNPCたちのために、それぞれの個性やニーズ、何より外見的特徴に合わせた衣装を仕立てていきます。デザインや手作業に何時間もかけて丁寧に作られた衣装には魂が宿り、キャラクターの個性を際立たせるような「スキル」が付きます。たとえばある人物は、本当はアイドルになりたかった。そんな彼女のためにデザインされた衣装の数々には、アイドルに似合った「スキル」が付きました。ゲーム的な描写にかこつけて、キャラクターの特徴を捉えた贈り物として機能しているのです。これを物語の中心に据えたのが本作。たくさんの個性豊かなキャラクターを出したからこそ、それぞれのキャラクターに服を仕立てていくということが物語として十分に面白くなる。勇者でも戦士でも魔法使いでも貴族でもなく、「仕立て屋」だからこそできるストーリー。
といっても、本作は基本的にギャグです。
面白い漫才やコメディというものははしばしば濃密な情報を叩きつけてきますが、本作も同様。チャットルームのシーンを非常に効率的に使って、過密なくらいに圧縮して情報を届けています。主人公はチャットルームに参加せず、マイペースに自分のやりたいことをやりながら衣装(国宝級のアイテム)を仕立てていきます。その主人公の行動がゲーム世界に大渦を巻き起こすので、ベテランプレイヤーたちが右往左往します。チャットルーム上での混乱と、それを気にもとめない気づきもしない主人公の温度差とギャップ。これを楽しめます。
本作はその性質上、序盤から大量のキャラクターが一気に登場して大量の情報を叩きつけてきますので、戸惑ったり混乱したりすることもあるかもしれません。が、とりあえず笑いながら読み進めてみてください。キャラクターがわかるようになってから後から読み返せば、だいたい全部わかるようになります。まずはとにかく、ご一読ください。
女性主人公のVRMMO作品でこんなにハマると思いませんでした。
作品タイトルを見ても一体どんな作品内容なのかが判りにくく、VRMMOも馴染みない人間にとっては正直とっつきにくいと言った第一印象でした。
しかし、とりあえず時間もあるし女性主人公となっているから読んでみようと思って読み進めると、予想を裏切られる程の面白さではないですか!!
また、ストーリーがテンポ良く進み、コメディ感もあるため、主人公ビビアに振り回される周りの人たちの有り様に、ついクスリと笑ってしまいます。
掲示板回は最初誰が誰だかわからず、内容もよくわからなかったので読み飛ばしていましたが、後から「これがあの時の伏線だったのか!!」と驚愕することが多く、その後何度も読み返しています。
この作品は主人公ビビアが、自分でオリジナルの服を作って販売したり、依頼を受けてその人にあった衣装を作ったりとしていますが、ビビアの衣装作りの作業シーンが本格的で面白いのも特徴です。
その辺りが他作家の作品になりますが、某魔導具師のダ〇ヤの似ていたので、(ビビアはダ〇ヤにさらにオタク感と毒が少し足されている感じですが)女性のモノ作り作品が好きな方には是非オススメ作品です!!
この作品のNPCは、未来のゲームということで、ある程度受け答えのできるAIでありつつ、あくまでゲームのNPCとして描かれています。
個人的にVRMMO作品でよくある人間のようなNPCに違和感があるので、この作品の扱いが1番ゲームとして納得感があって好きです。
また、理不尽なユニークスキルなどがなく、あくまで他の人でも再現可能なことをしている点もめちゃくちゃ良い!
ゲームのシステム面だけでなく、徐々に掘り下げられていく掲示板の住民達も魅力的で、回を追うごとに皆んな好きになっていきました!
こんなに全部のキャラクターを好きになった作品初めてです