VRなどのゲームものは避けていたのですが、
ちょっとライトなものが読みたくなって読んでみると、
ゲームストーリーの面白さや見せ方に引き込まれました。
何より良かったのが、仕立屋としての仕事ぶり。
ゲーム世界だからこそアリなデザインを発想し、仕立てていく。
その思考や発想、状況ががとても楽しめます。
仕立て途中の描写の細かさやその思考が、
疎い私には、とてもプロっぽく感じ、
お客様となる人物も、どういった人物かがわかるため、
その状況がまた面白い。
ゲーム世界だからこその制限の緩くなった状況が、
プロの自由度を高めている。そんな印象を持ちました。
一先ずキレイに完結させた形をとった上で、
続きの話を読ませてくれているスタイルも好みです。
思わぬところで良い作品に出会えました。ありがとう。
『気まま暮らしで気ままにクラフト』をコンセプトとするVRMMOゲーム「きまくらゆーとぴあ。」(通称: 「きまくら。」)をスタートした主人公が、ミッションの達成やプレイヤーとのコミュニケーションを無視して、ひたすら生産に打ち込んでゆく。運営が緩くプレイヤー民度が低いため緩やかな過疎の道を進んでいるものの、そんなことはお構いなく我が道を行く主人公のバイタリティは見事で、それがゲーム全体にも良い影響を及ぼしてゆくことになる。
基本的にはゲーム外でのやり取りはほとんどなくゲーム内でのやり取りだけで進んでいく。なお毎回、主人公視点のストーリーのあとに掲示板でのやり取りがあり、序盤はそのやり取りがややわかりにくいものの、ゲームの内情がわかり始めるとプレイヤー間のやり取りも本文とうまく連携して面白くなっていく。MMO好きにはオススメ。
下手な感想ですが、この作品が画期的なのは何故なのか考えてみました。
VRMMOモノに違和感を感じる、と言いながら同じようなジャンルを最近では集中して読んでいます。
この作品も含め、何作品かはゲーム内外の掲示板を使って、生身のプレイヤーたちの感情を巧みに表現することに成功しています。
私が知らなかっただけで、おそらくは広く知られたテクニックではないかと思われますが、この作品では雰囲気を演出するために非常に上手く取り入れられていると感じます。
またこの作品では、陰謀などが全く無いにも関わらず
「出来るだけランニングコストを下げて課金アイテムで儲けたい運営」
「露骨にライバルを出し抜きたい攻略ガチ勢」
「自分だけの特殊な目的を追い求めるプレイヤー」
「それらの狭間にあって己のやりたいことをのんびりやっているエンジョイ勢としての主人公」
これらの要素を全部絡めることで、生々しくもドラマチックな物語を展開しています。
よくよく考えたら、物凄く文学している作品ではないかと思います。
けっして綺麗とは言えない人間の内面(主に残念な方向で)を書きながら、状況に流されつつもソレを楽しんでいる主人公がいる。
彼らはゲームをゲームとして楽しみ、バラバラのベクトルで関わりあうが故に混乱を生じ、事態は終息するのですが理想的な状況へ収束するのかは常に不明です。
その過程のドラマが、この作品の面白さになっています。
舞台は運営とプレイヤーにより、経済的な理由と利己主義が作り上げた状況です。
そこへ社会人として常識的感覚を有する普通の女性(主人公)が投げ掛けた波紋は、このオンラインゲームにどういう結果をもたらすのか?
久しぶりに目が離せない作品に出会いました。
最初は掲示板の雰囲気(というかゲーム内の独特のモラル)が自分とズレてて「やべーやつむっちゃおるやん」って思ってたけど、理解が進んでいくとある意味一貫しててスルー出来るどころか楽しめるようになった。モラル薄くてやばいのかと思いきや薄くてもモラルは存在してて、自分の利益のために引くというスタンスであってもある程度のルールが存在してるのが良い。あと自分の利益のために動くせいで「やけくそ野郎」が少ないのも最低限の治安に一役かってると思う。みんなその辺りを理解してくれるならややこしいルールなんていらないんだ!みたいなこと言われてもちょっと納得する。
理屈っぽくしてるかと思いきや、みんな結局感情であっさり手のひら返していくのが個人的に好み
正直服の話は素人でついていけないことも多いけどそこは割り切ってストーリーを楽しませてもらってます
めだかさんが可愛い!
ゲーム内でファッションを楽しむのが好きなのでとても楽しく読んでます。
主人公が鍛治とか錬金術とかでなく仕立屋というのが良いと思いました。
強いとか弱いとかの実用性とは別に自分を表現するという部分も多く含む職業なのでぼっちプレイのはずなのに他人と深く結び付いていたりするのが微笑ましく読めます。
また主人公がめちゃくちゃ凄い奴でもめちゃくちゃ聖人でもなく、利益出そうとしてみたり、ビビってブロックしてみたり、するのが楽しいです。
ついつい熱が入り過ぎて良いものが出来たり、失敗したりというのも共感できてとても良かったです。
末筆ではございますが、心より続きを楽しみにしています。
ザックリまとめると、キチガイだらけのVRMMOのきまくら。において仕立て屋を営む主人公がトンデモ効果の服を次々に投下してトッププレイヤーたちを一喜一憂させる話。
きまくら。がゲームとしてどれくらい破綻しているかは作中のこの一文が表している。
運営:新しい玩具作ってやったから遊べよ。玩具の場所? 自分で探せ(鼻ホジ)
まあ、こんなゲームをやり込むような連中はどいつもこいつも一癖も二癖もあるプレイヤーばかりで、そいつらの掲示板での掛け合いが楽しすぎる。
個人的にはこのレビューを書いてる時点での最新のパンフェスタ編が最高だった。
ただ、最初の方は内輪ネタで『???』となることが多いので、76日目の後にある登場人物一覧は先にチェックしておいてもいいと思う。
めちゃくちゃ面白いです!続きが凄く楽しみです。
主人公視点の一人称と、プレイヤー達のチャットという一風変わった形式の小説が新鮮でした。
主人公視点では生産したり、狩りしたり、ゲーム内のイベントを進めたり、とゆるくゲームを楽しんでいます。が、その裏ではまったくゆるくない殺伐としたプレイヤー達のカオスな日常が繰り広げられている。温度差で風邪ひきそう。
そこには主人公が全く関わらなかったり、関わってきたり、でも主人公は全く気づかなかったり。
また、純粋にクラフト部分が面白くて、次はどんな服を作るんだろうとワクワクします。
他のプレイヤー達は皆クセの強い面々ですが、それぞれのプレイスタイルでゲームを楽しんでいて、そこにもドラマがあって面白いです。
徐々に明かされるゲーム内のストーリーも気になります。