VRMMOに対する違和感が減りました

下手な感想ですが、この作品が画期的なのは何故なのか考えてみました。

VRMMOモノに違和感を感じる、と言いながら同じようなジャンルを最近では集中して読んでいます。


この作品も含め、何作品かはゲーム内外の掲示板を使って、生身のプレイヤーたちの感情を巧みに表現することに成功しています。

私が知らなかっただけで、おそらくは広く知られたテクニックではないかと思われますが、この作品では雰囲気を演出するために非常に上手く取り入れられていると感じます。

またこの作品では、陰謀などが全く無いにも関わらず

「出来るだけランニングコストを下げて課金アイテムで儲けたい運営」

「露骨にライバルを出し抜きたい攻略ガチ勢」

「自分だけの特殊な目的を追い求めるプレイヤー」

「それらの狭間にあって己のやりたいことをのんびりやっているエンジョイ勢としての主人公」

これらの要素を全部絡めることで、生々しくもドラマチックな物語を展開しています。
よくよく考えたら、物凄く文学している作品ではないかと思います。

けっして綺麗とは言えない人間の内面(主に残念な方向で)を書きながら、状況に流されつつもソレを楽しんでいる主人公がいる。
彼らはゲームをゲームとして楽しみ、バラバラのベクトルで関わりあうが故に混乱を生じ、事態は終息するのですが理想的な状況へ収束するのかは常に不明です。

その過程のドラマが、この作品の面白さになっています。

舞台は運営とプレイヤーにより、経済的な理由と利己主義が作り上げた状況です。
そこへ社会人として常識的感覚を有する普通の女性(主人公)が投げ掛けた波紋は、このオンラインゲームにどういう結果をもたらすのか?
 
久しぶりに目が離せない作品に出会いました。

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