本場の人が日本人に合わせて甘くしてくれたカレーの様な物語

おそらくですが作者先生は、チートと運と恋愛要素で何となく上手く行く、という流れに心底ウンザリされたのでしょう。

主人公が不愉快で不利な状況に置かれる、という内容は万人受けしないと思いますが、そんな作品になる理由について、共感出来る部分があると感じました。

もちろん私はご本人ではないので感想でしかないのですが、実利を取る貴族というのはこういうものではないのか、ということが書きたいが為に、こんな雰囲気の作品になっているのではないかと、そういう印象を受けました。

状況の説明は簡素ですが、スピード感もあり、切迫した状況も伝わってきます。
そして作者先生の不満と怒りがヒシヒシと感じられたりするのです。

仮に周辺地域が平和であろうとも、普段から小競り合いという名の殺しあいが当たり前であって然るべき時に、お前らの学園生活とやらは完全に現実逃避ではないのか、殴る前に理想だけ説いてみせたところで、それをまともに聞いてくれる奴が居るのか、というお叱りがこれでもかと行間からにじみ出てきたりするわけです。

貴族の生き様や政治などというものは、本当にこんな感じだと思いますし、もっと酷いかもしれません。
これ以上酷くすると、辛すぎて食べられないカレーのようになってしまうかもしれないです。ですから、このカレーは私の様なラノベ読者の為に、本場の辛さをあえて出さない仕様になっているのだと、そういう感想が出てきてしまう一皿でした。
(まだ完食できていません。やっと9口ほど口に運べました)

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