<第一部第一章第1話を読んでのレビューです>
物語は、元社畜の32歳が異世界の幼女ゼニスとして生まれ変わる瞬間から始まる。村の日常、幼子らしい無邪気さ、転生による前世の記憶の混在と整理が、軽妙なユーモアを交えつつ丁寧に描写される。日常の微細な描写、木登りのハプニング、家族とのやり取りと、異世界生活の導入部として自然に読者を物語に引き込む構成が印象的だ。文章全体が、静かな観察眼と心理描写を思わせる緻密さで進行する。
個人的に印象的だったのは、「脳みその中で猛烈な勢いで記憶と人格の統合が行われていた」という場面だ。ゼニスとしての幼少期の感覚と、社畜として生きた前世の記憶が一気に整理される描写が鮮烈で、転生ものとしての「意識の目覚め」を読者に強く実感させる。この一文によって、ただの異世界幼女物語ではなく、前世との接続が巧妙に物語のテーマに組み込まれていることが示されている。
読む際には、ゼニスの無邪気な行動と、前世の知識や思考のギャップを意識して楽しむと面白い。幼少期のユーモアや失敗、頭強打のドタバタが、今後の魔法研究や異世界生活の成長と対比される構造を楽しめるだろう。
最終話読んで、番外編読んでわかった。
最終話で見事に閉めてる。
少し最後走ってる?感も無きにしもあるが、それもよいのかも。
言葉もよく選ばれて使っている。言葉でイメージを作っている人には心地よい読み具合だろう。
また、後半戦、怒涛の勢いでの「日常から非日常世界、更にもっと日常とかそんなレベルではない世界」へ。その設定、自分も持ってるイメージなのでよくわかったが、多分はじめてのイメージの人にもなるたけわかりやすい書き方なんじゃないかな?。あの世界のイメージは持っておくべきだと思うし。「歌うような」の部分は、よりわかりやすいように、との工夫かも。現界での風の声みたいな?
なんにせよ、盛りだくさんでダラダラがほぼ無く、時間があれば一挙に読んでしまうだろう。ただ中身が濃い系になると思うんで、脳みそ素直にしておくと疲れないかな?
久々に、中身が個性あふれ、出来の素晴らしい昨品に出会えたのは幸せだった。
この幸せをあなたにも!