第5話まで読んだけど、うん…確かに、作者が最初に書いている通り、これは難しい読書体験だ。
物語は目まぐるしくて、描写が非常に細かい。正直に言って、これは良い点だ、すごく良い。他の言語の言葉を日本語に翻訳するというアイデアも非常に興味深い。僕自身が意識してやることではないけれど、英語で多くのものを読むから、まるでオスモシスのように、似たようなことを無意識にやっているんだ。
しかし、個人的には、この作品に心を掴まれなかった。悪い作品だからというわけでは全くない。ここ最近読んだ中で、間違いなく最も巧みに書かれた作品の一つだ。でも、僕自身は物語のプロットそのもののディテールを読むのが好きな人間なんだ。
不快でグロテスクなディテールも、作者の意図的なものだろうし、何が起きているか理解できず、同じ文を何度も読み返してしまうほどの目まぐるしさもそうだ。これは悪いことではなく、作者の目的なのだから、むしろ天才的だとさえ思う。
でも。
この作品は、本来コメディなんだと思う。もしこれを漫画で読んだり、アニメで観たりしたら、きっと腹を抱えて笑うだろう。でも、小説として読むと、僕の心には響かない。何度も言うようだけど、悪いわけじゃない。これは明らかにとても良い作品だ。そして、自称作家として、僕が読むものの中にある価値を認識しなければならない。
技術的には素晴らしい。
でも個人的には、自発的に読もうとは思わない作品だ。
もし失礼な点があったなら許してほしい。そんなつもりはなかったんだ。
独特な表現で描かれるバトル。
それがこちらの作品の魅了だと大半の
読み手は絶賛をするであろう。
しかし、それだけにとどまらず……その
バトルの原因。さらには背景さえも読み
解こうとしてしまうほどの読み手たち
には鏡をみる勇気が必要とされる作品。
とても便利な鏡。自分の良いところだけ
を見ることができる鏡。
そんな一般的な鏡とは違う、特別な鏡を
もった琥珀色の髪の少女がこちらの作品の
案内人のひとりとして……こちらが穏便に
さえしていれば、つとめてくれるはず。
ときおり、その特別な鏡をみるように
琥珀色の髪の少女がにやにやと笑いかけて
くるかもしれない。
特別な鏡をみるも、みないもこちらの自由。
どちらを選んでも琥珀色の髪の少女はやはり
にやにやとしているはず。危害さえ、くわえ
ようとしなければ。
特別な鏡をみなければよかった……
大半の勇気のある読み手は後悔をするに
ちがいない。だが、その後悔は半ば必然の
ようなもの。
こちらの作品に巧妙に隠された魅了による
もの。どうやっても避けることのできない
運命のようなもの。
後悔はしたかもしれないが、確かに得たもの
も大いにあったはず。
すべてを読み終え……すべてを理解した
つもりで、ゆっくりと息をはきだす。
こちらの作品に出会えてよかった。
心の底から満足し、あなたはゆるやかに
目を閉じてしまうにちがいない。
この作品は完結済みで、全話読了してのレビューとなります。
タイトルからも分かるように、徴税官という主人公たちのお話なのですが、注目すべきはその後。
作者様は実験的な意味合いで、この作品の独特な表現方法に挑戦されているようです。
正直に申しまして、最初の段階だと私には難解に感じました。
ですが、読み進めていくとそれがクセになってきます。
私は、この作品を文学的だと感じました。換喩表現も後々にいい味を出してきます!
そして肝心のストーリーは、ネタバレになるので詳しく書けませんが、エンディングが素晴らしかったです。
もちろん好みがあるので、万人に受けいれられるエンディングでは無いと思います。
しかし私は、このエンディングを見れただけでこの作品を読んで良かったと思いました!(๑•̀ㅂ•́)و✧
表現方法は作家の数だけ存在するッ!
そう思わせてくれる作品でした(*ˊᗜˋ)
『異世界徴税官』は、法と秩序の名のもとに抑圧と不正が潜む都市国家イシュを舞台に、主人公ナーシェが織りなす苦悩と葛藤の物語。その琥珀色の髪と異色の瞳が映し出すのは、税という名の正義に隠された人間の本性と、国家というシステムが孕む矛盾。彼女の読心術が暴き出すのは、ただの数字ではなく、人々の願い、怒り、絶望――そのすべてが社会の歪みを鮮やかに浮かび上がらせます。
義手のノアームの冷静さ、ロスアリグの激情、そしてナーシェ自身の心の葛藤が交錯する中、読者はイシュの華やかさの裏に潜む「真実」を見出し、国家のもたらす倫理的ジレンマに立ち向かう彼女の姿に胸を打たれるでしょう。
正義とは何か?力と信念はどこに向かうべきか?この物語は、読む者に問いを投げかけ、ページをめくる手を止めさせません。その先にある答えは、果たして希望か、それともさらなる深淵か――あなた自身の目で確かめてみてください。