辛いけど凄い作品です

凄い物語だと思った。
他の方々も書いているが、正直に言ってこれが刺さる読者さんは少ないかもしれない。
それでも文章は上手いし、ストーリーはきちんと練られているとそう感じた。

ただ、主人公はひたすらに痛めつけられるし、本当に序盤は読んでいて苦しかった。
合わない作品だと感じながら読んだ。
それでも読むことを止められなかった。

読み続けるのに、どうして違和感がぬぐいされないのか、本当によくわからなかった。

で、しばらく読み続けてようやく解った。

主人公は……ファルスは何故か……自分を弱いと言いながら常に自身の立場について『強者である』という意識から外れないのだ。
つまり余裕があって、欲が在るようで無いのである。そして取りこぼしがあっても、自分は何でも出来ると考えている。
途中で読むことを止めた読者さんはこの事に意識的で無くとも気がついている。

これは実は弱いものが足掻きながら進む物語とは違う。
力ある者が我が儘を言いながら、自分は不幸だとみっともなく喚き、物語的強制力によって失うべきモノを失っていくというお話なのである。
旅路の途中で主人公は『解らせられるだけ』なのだ。
ストーリー的には危機もたくさんあって、一見してそうは感じられない様になっているだけなのである。だから主人公が煩悶する描写に違和感を感じたのだ。

この物語はまだ終わっていない。金を払う必要がもしあったなら、最後まで読めないかもしれない。
しかし、この作品の結末には興味が無いと言えば、それは嘘になる。本当に上手い作品だと思うから。
上記のことは作者さんが意図して書いている可能性もある。
(レジェンドの様に作者のこだわりが、能力や所持品、資産についての執着として、地の文に滲み出ている作品もあるが)

出来れば最後まで読みたい。完結させてほしい。
ついでに書籍化されない理由を誰か教えてほしい。

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