最初はね、高いんです。壁が。とっつきにくさ10段階中9ぐらい。
主人公の境遇が、見てるだけで胸糞悪くなる前世からせっかく転生したのに負けずに胸糞悪くなります。
そして転生につきもののチート能力。これがまた神様的な存在から何の説明もされない。読者だってわからないけど主人公にもわからない。使ってみても何がどうなってるのか理解できない。主人公が何をしたのか、どうしてこうなってるのか、どういう条件で発動してるのか、何をどうする能力なのか、さっぱりわからない。作者も伝えきれてないと思う。まずここで読者が選別される気がする。
でもここを乗り越えると割と面白くなってきます。どん底の境遇からの立身譚、になるのかと思いきや主人公の望みが別なのは最初から変わらず、それを求めて旅に出る、で色々な出会いと別れ、そしてこの世界の成り立ちにまで図らずも近づいていく、みたいな感じです今読んでるとこは。
多分初期の文章より後期の文章は上手になっているんだと思います。読みやすいです。
描写力が連載中に上がってるんじゃないかな
だから最初の方だけで切らないでせめて主人公が能力を活用しだすくらいまでは読んでみることをお勧めします。
結構質は高いと思います。初期以外は。
あと転生前の境遇がなんだか体験してきたかのような描写で「まさか自身の経験じゃないよな…」「こんな目に会った人間がこの文章の向こう側に実在したりしないよな…」とぞわぞわさせられます。まさかね。
いわゆる中世ナーロッパ転生チートファンタジー
と言う、いかにも量産型作品のテンプレートに則った、、、
スーパーヘビーノベルです、
ええこれはライトノベルとは言い難いナニカだ
まず一人ひとりの人物にこれでもかと血肉をあたえていることが最大の特徴でしょうか
すべてのキャラクターに確固たる「自我」が見て取れる作品は
昨今お目にかかった覚えがありません
一人ひとりに生まれて、育って、紆余曲折を経て主人公と出逢っている、これまでの人生から得た人生観、価値観を保って自律した人間として描かれるのです。
その重さたるやまさにヘビー
次にヨーロッパから切っても切れないものといえば何でしょう?
そう、様々な負の歴史です、ベルサイユ宮殿の糞尿問題、奴隷制、圧政からの見せしめの虐殺
そうバッチリ描きます、思わず「オゥ」と言いたくなるヘヴィ
そんな世界のド底辺に産まれ直す主人公の前世も
現実でなんか聞いたことの有るようなジゴクの詰め合わせ(涙)
彼は決して優秀ではありません、あえて言うなら非常事態に際して頭真っ白になる系の一般人です
なのに行く先々で当然のように降りかかる理不尽と悪意、それを足掻いて足掻いて乗り越える
嫌なことが一杯あります、悲しい事もこれでもかと列んでいます
でもだからこそ各章を乗り切った先、スカッと晴れ渡った青空を感じる事が出来るのです。
まぁ、そんな爽快感の直後に凡ミスでド底辺へ帰っていくのは御愛嬌
こんな、悲しくて汚くて、だからこそ輝く世界をどうかご賞味ください
駄文、長文に失礼しました。