概要
辰帝国南部
はるか高みより、白き山が大地を見下ろす。
山は冬を閉じ込めた様に、いつだって同じ姿をしている。
ユーリックは、その山へ何か想いを抱くも、その何かは決して思い出せなかった。ただ、白い夢に魅入られ、既視感を覚え毎日の様に白い山を眺める事が日課でもあった。
ユーリックは魔術師の弟子として生きていた。
決して魔術師の弟子になりたいと志願したわけではない。単純にそれしか生きる道が無かった。
魔術師は孤児を弟子とする。そして、戦争ばかりの辰帝国で孤児が生きる道の中は少ない。過酷ではあったが魔術師として生きる事が一番の僥倖ではあった。
ユーリックは、それが受け入れられなかった。
どれだけ周りにお前が恵まれていると言われても、
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ある少女の死から始まる物語
読み始めた途端に、凍てつく冬の寒さとそこに付随する緊張した空気が文字から匂い立ってきます。
あらすじの通り、寒々しい少女の死から始まる物語。
少女はなぜ死なねばならなかったのか?
その死がもたらしたものは何なのか?
少女にもたらされる死の瞬間まで、目を離す事はできないでしょう。
主人公のユーリックは数少ない女の魔術師の1人であり、まだ従子する立場によるしがらみや困難に遭遇します。が、基本的には彼女1人で立ち向かいます。強い女です。
強いですがどこか儚さを感じる面があり、それが一等彼女の魅力を引き立てます。
重厚な世界観だけでなく、卓越した戦闘描写は圧巻の一言に尽きません。
是非とも最後…続きを読む - ★★★ Excellent!!!科学と幻想の交錯する世界。魔術師の弟子となった少女の行く末は――
第一部まで読んだ時点でレビューを書いています。
魔術が存在する世界で、主人公がひたむきにがんばる重厚なファンタジー作品です。
本作の作者様が書かれる作品は、どれも世界観が精緻に作り込まれていて読みごたえ抜群!
なかでも本作は科学によって裏付けられた魔術が存在し、陰より生まれし妖魔が蔓延り、中国神話もあり……とたくさんの要素によって成り立っています。
これだけたくさんの濃い要素がありながらも胃もたれすることはまったくなく、ストーリーもすっと入ってくるので素晴らしいです。
さらには臨場感のある戦闘シーンやキャラクター同士のかけ合いなどが、秀逸な文章表現によって描かれます。
重厚なダークファン…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ダークで重厚!でも、しっかりエンタメな中華風異世界ファンタジー!
第一部完結まで読んでレビューを書かせていただいてます。
軽めじゃなく、重厚なテイストのファンタジー小説が読みたい!
本作は、そんな方におススメの作品です。
中華風ファンタジーではありますが、わたしの印象では西洋風ファンタジーを読みがちな方でも、すんなり入って行ける設定だと思います♪
作中で世界観がしっかりと描かれるので「中華は知らない設定が多くて難しい」と尻込みしがちな方もご安心ください。
とは言えです。
もちろん中華がお好きと言う方にも、面白いのは間違いないです。
とくに師弟関係は、見どころ。師匠と弟子である主人公との関係性。同じ師に師事する他の弟子とのいざこざ。そして恋愛関係。それ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!魔術とは、奇跡ではなく科学である
このお話、異世界ファンタジーで中華ファンタジーなのです!
これだけで私の触手はびくんとなり読み進めてしまいました( *´艸`)
その期待を裏切らない面白さ――。
まず、私がこの物語で一番わくわくした部分をご紹介させていただきます。
タイトルにもあるように「魔術師」の物語ですので魔法が活躍するお話で、その源は魔素となります。
そこは比較的多くの作品で取り上げられているのでしょうが、作中で『魔術とは、奇跡ではなく科学である』という言葉が出てきます。
読み進めるとそれがすっごく分かるのですが、その要素が西洋的なファンタジーでなく、中華ファンタジーな部分でもあり面白さを底上げしていて、本当に最…続きを読む - ★★★ Excellent!!!赤い瞳の少女の、行先は。
徹底的な男尊女卑社会で生きる、孤児で女であるユーリック。魔術師であるロアン師父のもとで修行しながら、過酷な生を強いられる彼女には、魔術師としての才能、そして秘密があった。
身分社会はもちろんのこと、共に暮らす弟子たちの間にも、才能の有無、優劣、上下があり……そんな生き辛い環境においても、何かと目をかけてくれる兄弟子、トビの存在は大きい。
ユーリックが追い求めるのは、おそらく魔術師としての道ではない。
凍てつく白き山への思い、師父の思惑、トビとの関係。
重厚な世界観だけでなく、手に汗握る戦闘シーンや、キャラクターの心理描写も丁寧に描かれています。
あなたもきっと、この世界にハマるはず。オ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ひたむきに努力する少女が印象的な、重厚感のあるファンタジー
物語はタグに、ダークファンタジーと書いてある通り、絶望的な死から始まります。
紅い瞳を宿した少女、ユーリックは、『神の住む山』と呼ばれる白い山が見える家に住んでいて、その白い山が気になって仕方がありません。
なぜだか、そこには何かがあるような気がするのです。
主人公のユーリックは、日々、師匠のロアンから魔術師になるための指導を受けますが、ロアンの指導は魔術というよりも、肉体を鍛え精神を鍛えること。女の子のユーリックにとっては、かなり厳しいものになります。
この物語は、色々な葛藤を抱えながらも、ひたむきに頑張るユーリックが印象的で、読んでいると感情移入して、応援したくなります。
そし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この白く凍てついた日々に、終わりはあるのか
魔術師ロアンに師事する少女ユーリックが主人公の中華風ファンタジーです。
魔術師に弟子として育てられることは非常に恵まれているものの、ユーリックはロアンに対して感謝より憎しみや恨みを強く抱いてしまっています。
ユーリックは幾度となく脱走しては、無意識に惹かれる白い山へ向かおうとするのですが、そのたびにロアンに連れ戻されます。そのために、ひどく叩きのめされることも。
なぜユーリックが白い山に惹かれるのか。どうしてロアンは、そこまでしてユーリックを手元に置き続けるのか。
第一部ではそれらを主軸に、ユーリックの魔術師としての成長が描かれます。そしてプロローグで描かれたある少女の死の真実…続きを読む - ★★★ Excellent!!!白き山と赤い瞳
第一部完了時点でのレビューになります。
衝撃的なエピローグから、ユーリックの出自が明かされるまでの話になります。
とはいえ、断片的です。
彼女は氷の魔術を操ります。
作品世界を彩るのは、凍てつくような白い世界。
厳しい冬の山。
それはまるで、ユーリックそのもののようです。
ロアンとの仲は終始ハラハラしっぱなしでした。
今後も予断を許さぬ感じですね。
第一部後半から、トビが前面に出て来ます。
彼は、温もりの象徴なのだと思いました。
ユーリックとの関係にも変化があります。
地文多めが好きな方は是非。
醸し出す雰囲気とは裏腹に、しっかりとエンタメに寄った構成になってます。
まだまだ謎…続きを読む