概要
中島みゆきさん【地上の星⭐️】♫ BGMに、炬燵の中で、でも読んで下さいませ
世界における自然災害で四番目に酷い被害をもたらしたとされる2011年タイ王国を襲った巨大洪水に被災した日系企業の現地駐在員が、会社の存亡をかけて危機一髪の脱出作戦を敢行し、その後の「復興」を描いたほぼノンフィクションタッチの企業小説である。
試練、試練、試練の連続。
神は克服できるものにのみ試練を与える————。
克服の先に見たものは、なんだったのか。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!前方の自然の猛威、後方の無能な味方。己の判断が頼れるか?
2011年にタイ王国を襲った洪水に被災した、日系企業の現地駐在員の方が、当時のご経験をもとに書かれた「企業小説」です。
降り続く雨、ひたひたと押し寄せる暗い水。自宅が被災していく従業員たち。自社の製品と機械を守りながら、自分達の安全も確保しなければならない緊張感。渋滞、不安定なライフライン供給、かかる費用。終わりの見えない不安と疲労。消耗していく気力と体力。味方であるはずの本社担当者の無能……。
次から次へと押し寄せてくる膨大な『敵』に、ひとつひとつ立ち向かっていく主人公達の姿に、胸が熱くなります。
余談ですが、当方、2004年の台風16号による高潮水害で被災しました。自動車は海水にやら…続きを読む - ★★ Very Good!!「企業戦士」という言葉の意味を初めて理解した気がする。
2011年にタイを襲った巨大洪水。
日系企業の社長・平田と従業員たちは、会社存亡をかけて戦う。
タイ行ったことないです。
読み始めるまで、あの年に洪水があったことすら忘れてました。
こんなに甚大な災害だったのですね……。
平田はタイに着任早々なので、まだ、こういうときタイ人従業員がどう振る舞うか、掴めていない。
(結果的には、日本人もタイ人もみんな頑張ってくれるんですが)
その状況で、究極の判断をくださなねばいけない試練の連続。
判断し、責任をとらねばならない「社長」の心労は、察するに余りあります。
ひたひたと着実に侵攻してくる、自然の脅威も怖いですが。
被災中でも、期日までに製品出荷し…続きを読む - ★★★ Excellent!!!大災害と戦った者たちの壮絶な記録。
2011年に実際に起きたタイの大洪水がベースとなり、緊迫したリアルが全編に渡って繰り広げられていく。
奇しくも東日本大震災と同じ年だ。
水は命。だが、大量の水は暴力だ。自然の恐ろしさをまざまざと見せつけられた。
本当に起きたことだから凄く生々しい。でも、それを伝える文章が秀逸であるからこそだ。
次から次に押し寄せる困難を乗り越えていく主人公。
今の最善の策を期限つきの中で決断していかねばならない彼に、もう悪いことが連鎖しないように祈りながら読んでいった。
乗り越えることができた人。乗り越えられなかった人。
最後にテーマが提示され、皆これについて考えがあるだろう。各々、何万通りもの答えがあ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これぞ勇者。戦うおっさんの物語。
2011年に起きたタイの大洪水を覚えていますか?
多くの日本人にとっては遠い国の出来事だったはずです。
「現地の人たちはタイヘンだろうなぁ」
人間なんて自分と直接関わりがなければニュースから流れる惨状を見ても思うことはそんな程度。
心配も同情もするけれど「他人事」「遠いところの出来事」そんな風に思ってしまいます。
「街が沈む」なんて言葉では簡単に書けます。
でももし自分の今いる場所だったら?
自分の会社や工場がある場所だったら?
本作品はほぼノンフィクションで描かれる「サラリーマンが直面した大災害」に立ち向かう物語です。
息をつめて読んでしまうほどの緊迫感が画面を通して伝わってきま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神の悪戯に立ち向かうのは、たまたまそこに居合わせた日系企業の戦士達
派手なアクションがあるわけでもなく、特別な能力を授けられたわけでもない……実話を基にしているこの作品。昨日までの平穏な日常が、突然、自然災害によって刻一刻と悪夢に変わって行く様子が鮮明に描かれている。体験者ならではの熱い語り口と、現実味あふれる登場人物達に親近感を覚え、物語にどんどん引き込まれていく。
かつて、会社のために全てを犠牲にして働くサラリーマンを「企業戦士」と呼び、もてはやした時代があった。この作品はまさに彼ら「戦士達の物語」だ。
最悪の状況に置かれてこそ、日本人は手を取り合い、不屈の精神でがむしゃらに未来に向かって突き進んで行く。先の大戦後も、そして近年の大震災の後も。誰もが…続きを読む - ★★★ Excellent!!!災害の裏で奔走する『人』たちの真実の物語です!!
ノンフィクションをベースに、微笑みの国タイへと赴任した日本人を主人公としたドラマです。
舞台となるのは、ニュースでも報じられたタイの大洪水による大災害の真っ只中になります。
ニュースでは決して語られない、災害の真っ只中に立った人たちが、何を思い、悩み、足掻き、そして戦い続けたのかを、リアルな視点から描かれています。
作品の特徴としましては、ノンフィクションをリアルタイムで物語にしてあるがゆえに、『答え』がないということです。
次から次に襲いかかる難題を、クリアするために判断と決断を下さなければならない。しかも主人公は現地法人の社長であるため、自分以外には決断を下す人はいないという状況…続きを読む