大災害と戦った者たちの壮絶な記録。

2011年に実際に起きたタイの大洪水がベースとなり、緊迫したリアルが全編に渡って繰り広げられていく。
奇しくも東日本大震災と同じ年だ。
水は命。だが、大量の水は暴力だ。自然の恐ろしさをまざまざと見せつけられた。

本当に起きたことだから凄く生々しい。でも、それを伝える文章が秀逸であるからこそだ。
次から次に押し寄せる困難を乗り越えていく主人公。
今の最善の策を期限つきの中で決断していかねばならない彼に、もう悪いことが連鎖しないように祈りながら読んでいった。

乗り越えることができた人。乗り越えられなかった人。
最後にテーマが提示され、皆これについて考えがあるだろう。各々、何万通りもの答えがあるだろう。
人はいつかは必ず死ぬ。命が尽きる期限を決めているのは本当に神だろうか。
病気であれ、災害であれ、人間は苦難に耐えられるか、いつでも試されている。
そこに理不尽があったとしても、避けようもなく。

企業を守る戦士たちの話だが、やはり人は会社とではなく、人と仕事をしている。
普段から信頼をおける接し方をしていれば、プライドと責任を持って仕事をしていれば、報われることがあると信じて突き進みたい。

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