神の悪戯に立ち向かうのは、たまたまそこに居合わせた日系企業の戦士達

派手なアクションがあるわけでもなく、特別な能力を授けられたわけでもない……実話を基にしているこの作品。昨日までの平穏な日常が、突然、自然災害によって刻一刻と悪夢に変わって行く様子が鮮明に描かれている。体験者ならではの熱い語り口と、現実味あふれる登場人物達に親近感を覚え、物語にどんどん引き込まれていく。

かつて、会社のために全てを犠牲にして働くサラリーマンを「企業戦士」と呼び、もてはやした時代があった。この作品はまさに彼ら「戦士達の物語」だ。

最悪の状況に置かれてこそ、日本人は手を取り合い、不屈の精神でがむしゃらに未来に向かって突き進んで行く。先の大戦後も、そして近年の大震災の後も。誰もが逃げ出したくなるような絶望的な状況下で、大切なものを守るという使命感に燃え、何度も心が折れそうになりながらも一縷の光を信じて戦い続けた彼ら企業人の強さを、同じ日本人として誇らしく思うと同時に、人と人との繋がりの大切さを痛感させられる作品である。

平凡な日々を繰り返す事が無意味に感じたり、密接な人間関係が煩わしいと感じた時に、ぜひとも読んで頂きたい。

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