概要
高校生に成長し、同級生である三上崇之に生霊が取り憑いていることに気づく。
それが全ての始まりだった――
あなたは生霊を視たことがありまか?
生霊とは生きている人間が誰かを恨み嫉みを持つことで生まれる怨霊です。
もし、生霊が視えたら、あなたはどうしますか?
※未成年の喫煙は法律違反です
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!生霊『探し』の意味
このレビューを読んでいるあなたは、他人に強い感情を抱いたことがあるだろうか?
期待を裏切られたことへの失望、目の前から消し去りたいほどの殺意。嫉妬、羨望。あるいは狂おしいほどの情念。
人間は誰しも、大なり小なりそういった負の感情を持ち合わせ、折り合いをつけながら生きていると私は思う。
そういった意味では、この物語に出てくる登場人物達はきっと『どこにでもいる』のだろう。
ただ、折り合いをつけ、内で留めていたものが外れてしまっただけで……。
この話は、生霊が視えるという以外はどこにでもいそうな少女の視点から始まる。
生霊とは何か、彼女とどう関わってくるのか。
読者はそれを息を潜めながら読み進…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この世で本当に恐ろしいものとは何か。
人間の背後に付きまとう黒い生霊が見えてしまう女子高生、立花藍。ぎょろりと白眼を剥き、異様に小さな黒目で藍を見つめる生霊たち。藍が幼い頃、マンションの隣の部屋に住んでいた友達の母親の背に生霊が見え、その女性は間も無くマンションから飛び降り自殺を遂げた。その後も、背中に生霊を負った人々は皆奇妙な変死を遂げていく。
そして、ずっと住み手のいなかったマンションの隣室に引越してきた男子高校生の背にも、同じ生霊が——。
彼らの背負う生霊の正体は。そして、その黒い影が見える藍に待ち受けるものは。
ネタバレは避けたいため、ここには多くのことは書かずにいたいと思います。是非とも一切の前情報なく読んでいただき…続きを読む - ★★★ Excellent!!!私は断言する。この結末を予想できる人は絶対に居ない。
『生霊探し』
読了後、この言葉の本当の意味を理解して鳥肌が立ちました。
生霊。
それは本来恨み人や想い人に向けて形となった思念が放たれるもの。
そういう認識でいましたが、一概にはそう言い切れないものなのかも知れません。
そういった既存の概念はこの作品を読み進めていくなかで取り除かれていきます。
主人公である立花藍は他人の悪意を生霊という形で視ることができる以外は、特に普通の高校生と変わりありません。
友達が居て、親子仲も良く、部活動に励み、時折恋もする普通の女子高生です。
そんな普通の高校生である藍が隣に越してきた三上という少年と出会ったことで運命の歯車が動き出します。
これが読み始めた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!襲い掛かる黒い靄の中に潜む悪意
立花藍は、幼い頃から人の背中から立ち上る黒い靄のようなモノが見えてしまう体質だった。
それは、幼少期、隣の友達の母親だったり。また、小学生の時の公園で出会った浮浪者だったり。同じクラスの男子だったり。友達の父親だったり。
そして、高校生になって隣近所の三上からも背中から黒い靄が見えてしまう。
――「黒い靄」作者はそれを「生霊」と定義付けてしまう――
「生霊」とは、そもそも他人の怨念(恨み、辛み、妬み、僻み、嫉み)が人に飛ばされ取り憑く・と普通は解釈しているが今回の話はそうでは無い。
この話では、その人の背中から出ている黒い靄はその人の悪想念「生霊」(恨み、辛み、妬み、僻み、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!淡々とした語り口に潜む狂気
幼いころから他人の生霊が見えてしまう主人公の藍。
生霊はなぜ見えてしまうのか、生霊とは何なのか。
その答えを探し求めながら、物語は思わぬ方向へと向かっていきます。
ボリュームがありながらも冗長さを感じさせない、正統派のホラー小説です。
無闇に怖がらせようとするのではなく、冷静な語り口の中に読み手を引きつけて離さない握力のようなものを感じます。
淡々とした語り口で読者を少しずつ恐怖へ引き込めるのは、作者様の文章力のなせる技だと思います。
個人的にホラーをあまり読むことはないのですが、この作品は一気に読めてしまいました。
というのは、創作とリアルとの線引きの仕方が絶妙だからではないかと思いま…続きを読む