太陽と一歩
心技体。
心は技を以て体を成し。
体は技を以て心を成し。
技とは動く事であり。
心技体で以て己を成し。
三百六十五日の中で日照時間が長いこの日。
世界で珍妙な事件が起こった。
太陽の悪戯と言うべきか。
二人、ないし三人に己が分裂したのである。
姿かたちは本体と瓜二つ。
しかし、性格が違った。
内一人が、積極的に行動するのだ。
動かない人には動くように駆り立てる。
動いている人には動かないように宥める。
この奇々怪々な現象を前に私は思った。
時折、いや、最近では常々心痛する事。
走る、はしる、ハシル。
彼女が私の手を握って、人、ひと、ヒトであふれるこの世界を突っ切って、走り続ける。
体であろう彼女に、心である私は足をもたつかせながら引っ張られ続ける。
仰げばまだ、
日は高い。
目を覚まし、眠っていた感覚を噛み締め。
疲れたと布団の上に意識して寝転んで。
勢い良く上半身を起こし。
散歩してみるかと。
月の見える世界へと一歩踏み出す。
筋肉痛に顔をしかめながら、けれど、意地を張って、さんぽは踏み出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます