夕陽




 人が二人並んでちょっと余裕があるくらいの横幅。

 人が三人肩車してちょっと足りないくらいの縦幅。

 折り返してもう一度上ると、一階上へと行ける。


 そんな裏階段の一番上。

 五階建ての学校の中で屋上の次に立ち入る事ができる高い場所。


 いつもは誰かが居るそこに、一人佇み見据える。


 人が二人並んでちょっと大きいくらいの横幅。

 人が二十七人肩車してちょっと足りないくらいの縦幅。

 一直線に裏階段を彩る。


 そんな透明な窓から飛び込んでくる、大きな、大きな夕陽を。


 学生をちょっと寂しくさせ。

 部活生や塾生を活気づかせ。

 恋人たちを酔わせる。


 そんなひどく幻想的な夕陽を、とても神聖的な想いで目を細めて見つめる。


 そして、思うのだ。


 綺麗だなと。


 頑張ろうと。




 問題を解くのだ。


 居残りから解放されるのだ。




 自らを奮い立たせてくれる、偉大で優しい夕陽。




 勉学の楽しさを半分知っていた頃の感想である。


 今、あの夕陽を目にしたら何を思うだろうか。

 



 眩しさに目を細めるか。

 世界を手に入れた気になるか。

 誰かにこの夕陽を見せたいと思うのか。




 恐らく、二番目だろう。







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