あの大空に届くまで




 どっかの誰かが描いた絵みたいだ。

 時々思う。

 時々のたいていは、信号待ちで立ち止まっている時。


 仰がずとも見える青空に違和感を覚えた。

 どっかの誰かが薄っぺらい紙に描いた絵みたいだ。


 とおく遠く、手に届くはずのないあの雄大な青空が、広がり続ける青空が、どこか薄っぺらくて、嘘っぽくて。

 限界まで。

 いや、ほんの少しでも、手を伸ばせば、届くんじゃないかって。


 見たいと思えば、


 掴めるんじゃないかって。

 掴んで。

 その薄っぺらい紙に描かれた青空を剥がせるんじゃないかって。

 嘘っぱちの向こうに、本物があるんじゃないかって。

 

 時々、思うんだ。

 暗闇しかないんじゃないかって。










 でも、君に出会って、考えを改めた。

 薄っぺらくても、嘘っぱちでも、暗闇しかなくても、想像もつかない事が待っているのかもしれなくても構わないって。


 何度も、何度も、何度だって。

 自分だけじゃない、

 みんなで届け続ければいいとわかったんだ。


 届け続けた先に、この空があるってわかったんだ。


 薄っぺらく感じた自分に恐怖を感じなくていいって。

 薄っぺらく感じた世界に恐怖だけを抱かなくていいんだって。


「あー、うすっぺらいなあ」


 たいていは信号で止まっている時。

 動き出せば、その感想はなくなる。

   



 集合場所で待っている君はきっと、怪訝な顔をするだろう。

 だって、出会った瞬間に、待ち合わせていた相手がいきなり大声を出して笑いだすのだから。


 君に会うまで笑うのは堪えるから、

 どうか、

 うまい理由を言えなくても、そっぽを向いて立ち去らないでほしい。


 伝えたい言葉があるから、







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