蓮と紋白蝶




 水上にて。

 手首を合わせて天へと差し出す両の手を、二つ、三つと重ねたような白と桃色の蓮の花。

 どうぞお乗せくださいと言わんばかりの、僅かに仰々しさを備えた平たい皿のような緑の葉。


 ひらひらひらと。

 自由気儘に紋白蝶が花に、葉にと浮き遊ぶ。


 花と葉と紋白蝶。

 月光の力を借りているのか。

 仄かに白を帯びた光を滲ませ、紺の世界に姿を映し出す。


 変わらない。


 男は思う。


 紋白蝶が羽を休ませ、食事を取っている蓮の花を見て。


 あれは特別な蓮の花。


 二千年前の実が今現代に花を咲かせたもの。


 仰々しく区分けされてはいるが。

 姿かたちは周りと変わらぬ。


 それとも、蜜の味は違うのだろうか。

 格別に美味しい?

 格別に不味い?


 今は、紋白蝶にしか知り得ない。


 しかし男は思う。


 変わらないだろう。


 傍らで眠り続ける存在のように。


 幾星霜の月日が流れようとも。












「お嫁さんにもお婿さんにも行ってほしくないよー!!!いや、送り出すけどー号泣してねー!!!」







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