切望




 幾年が過ぎたか。

 何万?

 何億?

 何兆?

 自問して、ばかばかしいと、鼻で笑う。


 正確な年月は頭にも刻んでいるし、念の為に、樹にも彫り込んでいる。

 忘れない為である。

 忘れようとする努力など、した事は一度もなかった。


 何故忘れる必要がある?

 こんなにも己を生かしてくれる存在なのに、


 轟轟と、

 うねるを上げる煉獄の炎のような色合いで縁をかたどる。

 深々と、

 水底までもを覗き込める透明な湖に張った氷のような熱量を全身に巡らせる。


 こんなにも、己を己たらしめてくれる存在であるというのに、


 愛しく、大切な存在、

 かたわれとでも言うべきか。


 今でさえも、

 どれだけの時を刻んでも、




「早く会いたい」




 例えば、この心に、新しい色が加わったとしても、

 例えば、その色が。

 前の色を塗り潰さん勢いであったとしても、

 熱量だけは変わらないままに、




「はやく、」





 どの色に染まりたいのか、

 今でさえ、

 わからなかったとしても。






 会えば、どの色に染まりたいのか。


 わかるのだろうか。


 前と同じか、

 それとも、







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