3ロリ 死神
私は森の中を走っていた。
獲物を探す。
「見ぃつけた」
私は炎の鷹を見つける。
何度もこいつに燃やされた。
私は熊から得たスキル【身体強化】を使って脚力を強化して、空を飛んでいた奴を掴む。
次に腕力を強化して奴を地面に押さえ込み拘束する。
そしてそのまま翼をもぎ取る。
「ッッ――!?」
声にならない悲鳴を上げる。
奴は激しく抵抗し口から炎の球を吐く。私は手でそれを掴み奴に返す。
すると奴は自分の炎に焼かれていく。
「はははっ、どうだ? 自分の炎の加減は?」
奴は次第に悲鳴をあげなくなり絶命する。
こんがり焼けた肉を喰って力を得る。おかげで【火属性魔法】を得た。
どうやらこれはイメージさえすれば大抵の魔法は発動するらしい。一部詠唱が必要なものがあるが後で調べよう。
これで蜘蛛も倒せるはずだ。
私はまた走り出し次の獲物の蜘蛛を探す。
蜘蛛の巣が増えてきた。
小さな蜘蛛が数千と現れ、大きな蜘蛛も現れる。
私は炎を身に纏う。
すると蜘蛛たちは騒ぎ立てる。やはり炎が弱点のようだ。
それよりも数千と蜘蛛がいるためうるさい。ガチガチガチガチしか聞こえない。
「お前らは、そうだなぁ。とりあえず燃えろ――」
「ギギッ!?」
周りの糸に火がつく。
奴が驚いている隙を狙って、私は奴に接近し炎を纏った手刀で奴の足を切り落とす。
「ギギッ――!?」
奴が私に毒のついた糸を吐く。
それに合わせて他の小さな蜘蛛も一斉に毒を吐く。
私は纏っている炎の火力を上げて燃やして防ぐ。
あとは蹂躙だった。
炎の前では蜘蛛たちはどうすることもできずに燃えていく。しかも悲鳴のような声を上げて死ぬので実に愉快だった。
あらかた死んだあと私は蜘蛛の死体を目に少し戸惑う。
(これを喰うのか? これはさすがに……いやでも……)
蜘蛛を焼いたとはいえ蜘蛛は蜘蛛だ。
控えめに言って気持ち悪い。食欲が失せる。
しかし私は強くなるために目を瞑って我慢して喰べる。
「……次だ」
私はプテラノドンを目指して走る。
湖周辺に戻ってきた。
ここらへんがプテラノドンの生息地のはずだ。木が邪魔なので脚力を強化してジャンプする。
「おぉ」
行けるかわからなかったので試しでやってみたが意外と高くまで跳べた。
落ちる前に周囲を見渡す。
(……いた)
ちょうど神樹の方向に群れで飛んでいた。
私はスタッと着地して、プテラノドンがいた方向へと向かう。
途中、角の生えたウサギもいたので焼いて喰べた。スキル【脚力強化】と【衝撃付与】を得たが【脚力強化】は【身体強化】に統合された。
偶然この前の開けた場所に着く。
上を見ればプテラノドンが飛んでいるのが見えた。
私に気づいていないようなので炎の球を打ち上げて爆発させる。
一体(一羽?)こちらに気づき急降下してくる。
ドシンッ
私は奴の攻撃を避ける。奴の嘴が地面に刺さる。
一瞬の間に大きな翼ごと奴を糸で縛る。
奴は飛ぶこともできずにジタバタと抵抗する。
(私はこいつに生きたまま喰われた。だから私もお前を生きたまま喰ってやる)
私は勢い良く奴の腹に手を突き刺し、そのまま腹を切り裂く。
「ギャアァァァァッッ!?」
そして体の中だけを焼いて喰っていく。
奴は最初のうちこそ叫んで抵抗していたのだが、次第に声も抵抗も弱々しくなっていく。
奴と目が合う。
「ギャアァ……」
にまぁ
あの時と立場が逆転していた。
私は笑う。
奴は体をビクッと震わせる。
そして私は奴の頭を掴んで――
「ギャ……ァァ……」
ゴキっ
身体強化をして潰す。
うまくできなかったが頭蓋骨が割れたので死んだのだろう。
奴からはスキル【空中飛行】を得た。空を飛べることができるようだ。
私は順調に復讐をしていく。
◇◇◇
ある日、世界最恐の森の魔物たちに激震が走った。
曰く――死神が現れた。
彼ら魔物にとって人間は至高の食材であった。
魔物のように不味くはなく、小さいが数は多い。
だから魔物たちは突然現れた人間を喰らおうとしていた。
しかし、その脆弱で小さな人間が魔物を喰らっていた。
衝撃だった。
魔物は人間にとっては毒だったのではないのか。
なぜ魔物が人間に喰われている。
しかも人間がどんどんと魔物を殺し喰っていく。
「はははっ! もっと、もっとだぁ!」
魔物の死体の上で高らかに笑う人間が、魔物にとっては死神そのものに見えた。
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