14ロリ 最強vs最恐
そんわけで冒頭の話に繋がるわけである。
荒れ狂う爆炎、轟く轟音、木々が吹き飛ばされて地面が露わになる。
それほどの激しい戦いを繰り広げていた。
数十分ほどが経ち互いにまだ無傷。周囲への被害は甚大だが今は目を瞑ろう。
奴はリリが世界最強というだけやはり強かった。天変地異のような圧倒的な攻撃力と神龍の硬い鱗の防御力を持ちあわせており、私の攻撃はほとんど効かない上に、若干私は押され気味だった。
奴は龍砲を放つ。これはいわゆる魔力砲で竜魔法でも付与されているのかあり得ないほどの威力だ。
私は苦もなくそれを避ける。龍砲は私の後ろの地面に直撃する。眩い光を発し爆音を響かせる。
爆炎と衝撃波が大地を駆け抜け木々を吹き飛ばす。巨大なキノコ雲も立ち昇りその威力の恐ろしさを目の当たりにする。
それに擦りでもすれば重症では済まされないだろう。相手を殺さないという約束はどうした。
「やられたらやり返すってのが常識だろ」
私は手と手を合わせ、手と手の間に魔力を溜め魔力砲を放つ準備をする。
そして――
「か〜〜め〜〜は〜〜◯〜〜波ぁっっ!!」
私の魔力砲はそのまま奴の巨体を飲み込み、そのまま大気へと突き進む。
大気が爆ぜた。
比喩ではない。事実、大気が爆ぜた。鼓膜を破るような轟音と木々をなぎ倒すような衝撃波が大気を駆ける。周囲への被害はさらに酷くなる。
しかし幼女がかめ◯め波を放つとギャップが凄い。
魔力砲は徐々に空中に霧散して、消える。
奴の姿を見る。やはり奴は無事だった。しかし十分効いたのか一部の鱗にヒビが入っている。
「くははっ、中々、やるではないか! 驚いたのである!」
げふっと口から血を吐きつつ奴は声を上げる。
ちなみにまだ【天照之写身】は使っていない。使っていない状態で本気でない奴と渡り合っているので私も十分に強いだろう。
奴は大きく翼を羽ばたかせ、私に急接近する。その速さに私の目は追いつかず、気がつけば目の前に奴が手を振りかざしていた。
私は咄嗟に手で防御する。
奴の鋭い爪が私の腕を裂く。何とか切断されずに済んだ、が骨が見えているかもしれない。
しかしその勢いは強く私は数百メートルと吹き飛ばされ地面にぶつかる。
ズキズキと背中と腕が痛む。
久しぶりの、痛み。
久しぶりの、命が危うい戦い。
私は嗤った。
私はすっかり変わってしまった。今までの私なら戦っても楽しむことはなかったが、余裕が出来たのだろうか。今ではこの戦いに楽しさを感じている。
【自動再生】のおかげで先程の腕の傷も治る。
私はお返しにと接近していた奴に、【要塞】と【身体強化】で硬く強くした腕で【衝撃付与】も発動させて、殴りつける。
狙うは奴の腹。
私は奴の腹の下へ回り込み拳を突き上げる。
「うっぐぅ!?」
衝撃が奴の内臓に直撃する。今まで鱗に守られていたので初めての痛みかもしれない。
しかしたったの一髪では終わらない。
二発目、三発目と殴っていく。
そして――
「これでっ、最後だっ!!」
「ぐぶぅっ!?」
勢いをつけて先ほどよりも強く殴る。爆炎も追加させて奴は上空に吹き飛ぶ。
爆炎は素晴らしい。荒れ狂う炎、轟く轟音、見栄え良し、効果良し。広範囲に攻撃でき、圧縮すれば狭い範囲に高威力を見舞える。
これ以上心を震わせる魔法を、私は知らない。某爆裂娘と友達になれそうだ。
奴は空中で静止する。
そして笑い声が聞こえる。
「くくくっ、ふふふっ、ふははははっ!」
笑いの三段活用だ。実際に使うやつ初めて見た。
奴は実に楽しそうに笑う。
「これほど楽しい戦いは久しぶりなのだ! まずお前を舐めていたことを詫びよう。まさかこれほど我を楽しませてくれるとは……」
「そうか。ならさっさと帰ってくれ」
「断るのだ! さあ、我ももう少し実力を出そう!」
やっあから魔力が大量に漏れ出す。漏れ出た魔力は奴の体に纏わり付く。
なるほどそういう使い方もあるのか。
私もそれを見様見真似で試して見る。
大量の魔力を吹き出し、それを操り体に纏わせる。
「ふむ? 中々やるではないか」
上手くできたようで奴は驚く。
私は更に手に【龍麟】を纏い、奴に近づく。
「何? それは竜魔法のはずでは……」
奴は手を出して私の拳を受け止める。
続け様に高速で移動しながら殴る蹴るを繰り返す。しかしどれも奴に遇らわれる。尻尾で、手で足で、時には魔法で。
私は一度離れ奴の上をとる。
「雨の如く降り、奴を散らせ 流星群」
「むっ!?」
両手を掲げ火属性魔法の最上級魔法を放つ。
手から雨の如く流星群が降る。それは奴と、その周辺に落ち逃げ場をなくす。
大地がめくれ上がり煙が立ち昇る。
「効いてるといいんだが」
独り言ちる。
「ああ、中々効いたぞ」
「ッッ!?」
「だがその程度ではまだまだだな」
「ぐっ!?」
奴はいつの間にか私の背後におり、竜魔法の一つを放つ。
超圧縮されたレーザーが私を襲う。レーザーが私に直撃し遠く離れた位置にある山すらも爆破する。
いわゆるゴ◯ラの放った内閣総辞職ビームのようであった。
私は咄嗟に龍麟を全身に纏い、【要塞】で更に守りを強くする。
強烈な衝撃が私の横から襲う。
「がっ……!!」
私はレーザーに飲み込まれる。
「ふんっ、まあまあ強かったが、所詮その程度なのである。まあお前の本気を知れたし良しとしよう。約束通りこれで終いなのだ」
神龍は少し感心していたようだがすぐに呆れていた。言外にたとえお前でも我には勝てぬ、と言っているのだ。
「おい、誰がさっきの私を本気と決めた」
私は全力は出していたが本気は出していない。
奴は驚きの声を上げる。
「何?」
私から今までのものが児戯のように感じる膨大な魔力が噴き出す。
奴は目を見開きたじろぐ。
「こっからが本気だ」
私は奴を睨み付ける。
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