10ロリ 獣王成敗
私は位置を確認する。
家からは十分離れているし、家にまで被害が及ぶ可能性は低いだろう。
まずは小手調べ。
獣王の攻撃を避けたりしているのをやめ奴にカウンターを食らわせる。
「ぐっ!?」
カウンターをしてきたことに驚いている。
奴はそのまま後ろに下がったのでそれを追いかけ追撃をする。
立場が先ほどと逆転し、奴は防戦一方になる。
「ん? どうした? 防戦一方だぞ?」
「くそっ……はぁっ!」
「おっと」
蹴りを入れてきたので危なげなく躱す。小さい体に感謝だ。
奴の腹が空いたので私は思い切り蹴りを入れる。
奴は木々を倒して飛んでいく。
そして奴を追い抜きまた蹴りを入れる。
それを繰り返して数回、今度は上に蹴り上げる。
「おぉー、飛んだ飛んだ。さてと」
私は魔法を発動する準備をする。
奴が徐々にスピードを緩め地面に落ちかけているところを私の指先から――
「轟け 一風雷火」
雷が奴目掛けて一直線に突き進み、奴を呑み込む。
雷はそのまま空中に霧散し、奴は重力に従い地面に落ちてくる。
ドゴンッ
受け身も取らずに落ちる。
そして止めに踵落としを食らわせる。
ドガンッ!!
「がはっ……!!」
踵落としの衝撃が奴を貫き地面に伝わり、地面にヒビを入れクレーターを作る。
奴は血を吐いて気絶する。
「ふぅー」
思っていたよりもこいつは弱かった。
口だけのやつだった。
私はこいつの首元を掴んで、リリの元へ戻る。
「リリ、こいつ本当に獣王なのか? 意外と弱かったが……」
「本当なの」
「六王の中でも魔王、竜王、森の王は群を抜いて強いですから。あのガジーラでさえ六王でも一、二を争う強者でしたから、それを倒したあなたは六王の中でも最強の部類でしょう」
「そうだったのか」
ということは私は今、世界最強ということだろうか。
「しかし、最近森の王だけでなく魔王も変わりましたからね。魔王といいとこ勝負ではないでしょうか?」
「そうか」
改めて、ガジーラ強かったんだな。
「……はっ!」
獣王が目を覚ます。
「ガリア、クルシュは本当に強いの。分かった?」
「は、はい」
「次変なことしたら、分かってるね?」
「承知いたしました」
「そしてクルシュにも謝って」
「……新たな森の王殿、貴殿の力を侮った挙げ句喧嘩をふっかけ申し訳ない」
獣王ガリアは正座をして謝る。
「ああ」
私はそう返事をする。
「ガリア」
「何でしょう、神樹様」
「罰として十年間クルシュに仕えるの」
「かしこまりました」
「おいおい、待て待てっ」
私は待ったをかける。
「なに? クルシュ」
「いらんぞっ」
「そんなこと言わずに、もらえるものはもらっておくの」
「だがっ……」
戸惑っているとガリアは私に向き直って――
「改めて、俺は獣人族を統率する六王が一人、獣王ガリア・ベリフェルト。これからクルシュ殿にお仕えいたします」
「……あ、ああ」
リリの命令で獣王ガリアが私に十年間、仕えることになった。
「なあリリ、十年って長くないか?」
「そんなことないの。一瞬なの一瞬」
「神樹からしたらそうだろうが、人間からすれば長いぞ」
「? なに言ってるの、クルシュは人間辞めてるの」
「そうだった」
すっかり忘れていた。
ともかく突如現れた獣王はあっけなく私に破れ部下となった。
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