47ロリ ガリアと風呂
「いやぁ、食った食った」
「もう食えん」
私とガリアはその後、店を後にし寄る所があるというシルヴィと別れホテルの自室へと戻ってきていた。そして、ベッドに一直線に向かい、体を投げ出して休息を取っていた。まさに至福の一時。
今は既に夜遅く、もう寝ても良いかと思える時間だ。
明日はお昼の二時間ほど前にホテルのエントランスでシルヴィと待ち合わせをしている。なので朝はゆっくりできるだろう。あ、ホテルの朝食の連絡をしておこう。
……さて、風呂に入るか。この部屋の風呂は個室の風呂にしては伸び伸びできるほど広い。それもこの部屋が最高ランクの部屋だからか。
「よ〜しガリア、風呂に入るぞ」
「う、うむ」
私はチャチャっと服を脱ぎガリアと共に浴室へ向かう。
大きな浴槽にはバトラーが用意してくれていたのか、お湯が張ってある。お湯加減もちょうどだ。今すぐにでも飛び込みたい衝動が私を襲うが何とか堪えて体を洗う。
風呂のマナーは大事だよな。私とガリアしか入らんが。
私はリリとアルテナから教わった通りにしっかりと髪を洗い、体も洗う。
「よしガリア、お前も来い。洗ってやる」
「うむ、頼む」
ガリアは大きい。狼状態では私の二倍以上の高さはある。私は飛行魔法を使いつつガリアの全身を洗っていく。
そして綺麗に洗い終わり、ガリアの毛並みは綺麗な黒色になる。
「よしガリア! 風呂だ!」
「うむ!」
私とガリアは湯船に飛び込む。ジャバーとお湯が溢れる。
「いやぁー、やっぱり風呂はいいな」
私は大の字になって風呂に浮かぶ。
「クルシュ殿には恥じらいがないのか」
ガリアはそう呟き、あまり私を直視しないように外の景色を眺めている。
「別にお前だからいいんだよ。お前は私の部下だからな」
「そうか」
「いやー、それにしても夜景もいいもんだな〜」
私は窓から広がる夜景を眺める。現代日本のような明るさはないもののちらほらと見える明かり、そして明かりが少ないために星空がよく見える。
風呂に浸かりつつ夜空を堪能――素晴らしいシチュエーションだ。
私とガリアはしばらく風呂につかった後、浴室を出て体を拭く。当然の如くタオルはフカフカだ。
そして火魔法と風魔法で温風を作り髪を乾かす。これもアルテナから教わったことだ。
ガリアにも温風を当て乾かす。すると綺麗に洗われた黒色の毛はフカフカモフモフとなり私の目を奪う。
そして、私はついついモフモフに手を出す。むしろ全身をだす。
ぼふ
「あぁ〜モフモフ〜」
私はガリアに抱きつき全身でモフモフを感じる。裸だと意外と良いな。
「お、おいっ、クルシュ殿!?」
「あぁ〜、気持ち良い〜」
裸の私に抱きつかれ驚くガリア。流石に嫌だったのかブルブルと体を震わせる。が、私は手を離さない。
「ははは! これ面白いな!」
「遊んでるわけじゃないんだが!?」
これが意外に楽しい。
ボフンッ
「……え」
ガリアは獣化を解いて人型になり――
ドンっ
「ひぇっ」
――私を壁に追いやって壁ドンをする。
「ガ、ガリア?」
「クルシュ殿、それ以上するなら、本気で襲いますよ」
「……ぇ? …………えぇ!?」
耳元で囁かれた言葉を数秒して理解し、私は顔を赤らめる。私はやり過ぎてしまったらしい。
「その……すまない。今度からは控える」
「別に抱きつくなと言っているんじゃない。女性であることに恥じらいを持ってくれと言っているのだ。そうじゃないと俺がクルシュ殿のことを意識してしまうからな……」
「でも、私は子供の姿だぞ?」
「俺の妻にも人間の子供と同じような背丈の者がおるが獣人にはさほど珍しくない」
「へぇ……って、妻!?」
「そういえば言ってなかったな。俺には十人の妻がいる」
(このハーレム野郎っ)
そういえばこいつ一国の王だったか、それなら何人も妻がいてもおかしくはない、のか?
「さ、ベッドに行くぞ」
「え、あ、うん」
(え、ベッドって、私はガリアに抱かれてしまうのか!? いや別に断固拒否したいほど嫌っていうわけじゃないが……)
ガリアは再び獣化し寝室へと向かう。
私はタオルを巻いて後をついていく。
「どうした? 服は着ないのか?」
「えっ!? 着る。今着る!」
(まさかの着衣プレイ!?)
私は服をささっと着て寝室へと向かう。
そして――
「おやすみ、クルシュ殿」
「え……あ、うん、おやすみガリア」
――ガリアは横になり眠りにつく。
(あっれぇえ!? 抱かないのっ? ベッドって、まさか寝るため!?)
恥ずかしい勘違いをしていた私は顔を真っ赤にしていることだろう。
ついつい覚悟していたが、まさか私の勘違いだったとは。穴に入りたい……
(って、私の前世は男子高校生だったじゃないかっ! 私はヤられる側じゃなくてヤる側だろ! って言ってもリリとアルテナにはヤられていたし、むしろ降参もしたほどだけど……気持ちよかったなぁ……ってなに女々しくなってんだ! あぁ色々と変わってしまった……私はもう男子高校生には戻れないのか……)
私は悶々としたまま中々寝付けずに夜を過ごす。
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