18ロリ 森の悲劇

 最初は些細な問題だった。


 神龍レヴァが居候するようになってから一月ほどが経った。

 日属性について研究しているレヴァだが結果は出ていないらしい。そして私はリリやレヴァと特訓をして体を鈍らせないようにしていた。


 家のそばの畑には数多くの野菜を育てており数日周期で実る。その理由は神樹の特性らしく、神樹のそばだと植物の成長が早いらしい。

 しかしある日から実る周期が長くなった気がした。三日で採っていたものが四日に、一週間で採っていたものが一週間と二日に。最初は誤差だろうと気にしていなかった。


 そこから少し異変を感じるようになった。


 ある日の夜、いつものようにアルテナとリリと寝る。

 ガタガタと窓が揺れる。風が吹いているからだ。

 今まではそんなことはなかったのだがそういう季節だろうか。しかしリリやアルテナに聞いてもこんなことは初めてらしい。

 まあ風が強くなることはあるかとそのまま眠りにつく。


 ある日、私は森に住む魔物たちから相談があった。

 皆口を揃えて「森がおかしい」と言う。

 どうやら、そこまで目立ったことはないものの変な違和感を感じるらしい。あくまで「気がする」だ。少しは気を付けろと注意をして帰っていった。


 ある日、とある夢を見た。

 ただ白いだけの空間に私は漂っていた。目の前には女性が立っていた。顔は見えない。が、すらっと伸びた細い足、スリムな腰回り、アルテナと同じくらいの大きさの胸、チラッと見える顔は美しい。誰かは知らないが綺麗な人だった。

 彼女は私の前に来る。そして私の顔に手を伸ばす。彼女はにこっと微笑む。


『やっ……見…………た』


 何かを話しているが聞こえない。

 彼女が徐々に薄くなり消えた。その時に私は目を覚ます。


 そんな些細な問題も次第に無視できないものとなる。

 例えば、徐々に森の木が枯れたり、私の体調が悪くなったり、悪夢を見たり。


「何かが起こってるの」

「原因は分かるか?」

「いや、全く見当もつかないの」


 私たちはこれがいったい何によるものなのか全く分からず悩んでいた。神樹のリリや神龍のレヴァでさえ分からないのだ。



 そうして原因が分からないまま数日が経ったある日の夜。

 私は嫌な雰囲気を感じて飛び起きた。リリとアルテナはまだ寝ている。窓から飛び降りて外に出る。

 満月が天に昇り、月明かりで明るい。レヴァも家のそばで眠っているのが見れる。

 ちょうど良い涼しさでなんの音もしない。するとすればレヴァの寝息である。


 私は空に昇る。

 なんとも言い難い嫌な予感がする。

 そんな予感は的中した。


 天から光が降り注ぎ森を焼く。ゴウっとたちまち火は燃え広がり明るくなる。

 リリも起きたようでベランダから顔を出す。魔法を当ててまだ寝ているレヴァを起こす。


「ぐはっ!?」

「起きろ。緊急事態だ」

「なんと……」


 アルテナやガリアも集まる。


「これは、何が起こったのだ」

「いきなり空から光が降ってきたと思えばこれだ」


 皆一斉に空を見上げる。しかしそこには何もない。ただ満月が昇っているだけである。



◯お知らせ

 次回19日から3日連続投稿します。

 1章ももうすぐで終わりです。

 これからもお願いします。

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