2ロリ 堕ちて復讐する

 そして幾度目かわからない生き返りをする。

 そしてゆっくりと立ち上がる。


 私は本能で悟る。

 幾度の生と死を繰り返し復讐心が芽生えたことによって、強力なスキルを発現している、と。


 【天照之写身アマテラスのうつしみ】――日属性の力、つまり太陽の力をその身に宿し全てを薙ぎ払い蹂躙する規格外のスキル。

 【不撓不屈】――心が折れない限り一生成長率を倍増する十分規格外なスキル。


 このチートな二つのスキルは私の復讐を後押しする。


 ガサガサっと茂みが揺れる。

 そして子熊が現れる。

 最初以降逃げていたが私はもう逃げないと決めた。

 私は子熊と真正面から相対する。


「ふーっ、ふーっ、ふーっ」


 私は今までのことを思い出す。

 何もかもこいつから始まったんだ。

 私は怒気と殺気を隠さず奴に近づく。奴も私に気づいたのか怯えた様子で腕を振り上げる。

 私はその動作をじっと見て、かわす。よくよく見ればこの攻撃は十分に避けられるものだった。

 そして復讐心をぶつけるが如く私は思い切りこいつの腹を殴る。


「クルァ!?」


 すると奴は木々をなぎ倒して吹っ飛び消えていく。

 私はいつのまにかスキル【天照之写身アマテラスのうつしみ】を発動しており、力を得ていた。

 私の白髪の髪は白く輝き、金色だった瞳は紅と藍色のオッドアイに変わっている。


「グルァ」


 後ろをみると大熊が立っていた。しかも子を倒されたことに腹を立てていたのかすでに戦闘態勢だ。

 私は本能のままに暴れる。


「はははっ! どうだ! 痛いか!」

「グルァ……」

「そうか、それはよかった! ほらもっと苦しんでくれ!」


 私は熊を嬲る。

 無我夢中だった。

 戦ったことなどなかったが復讐心が本能を掻き立て奴をゆっくりと死なないようにいたぶっていく。

 皮膚を裂き、腕を切り、じっくりとじっくりと攻撃していく。


 復讐が楽しくて気がつけば大熊は死んでいた。大量の血を流し、見るも無残な肉塊に変わり果てていた。

 今までの私ならそのグロテスクな状況に吐いていただろう。

 しかしその光景に私はゾクゾクっとした

 今まで私を嬲っていた奴が私に嬲られて死んでいる。その光景に私は高揚感を抱いていた。


 私も堕ちるとこまで堕ちたものだ。

 今までの自分ならこの状況を見ただけで吐いていた。

 しかし大量の血を全身に浴びても何とも思わなかった。


 そして私は奴の血肉に貪り喰っていく。こいつは私を喰ったのだ。だから今度は私が喰ってやる。


 生肉は不味かった。しかも魔物だからか余計に不味い。そうだとすると人間はさぞ美味しかっただろう。

 だが私は不味くても喰らっていく。


 体に痛みが走る。

 知ったことじゃない。

 私はただ血肉を貪る。


 少しして無視することができない痛みが私を襲う。

 あまりの痛みにもがき苦しむ。

 しかしそれがどうしたと『不撓不屈』のスキルを使って耐える。


 後に気づいたが魔物の肉を取り込んだことによって私の肉体が進化していた。

 魔物というのは魔石という器官をもち、魔力を生み出し体に循環させ生きている。

 人間は魔力を生み出すことはできず空気中の魔力を体内に取り組んで魔法を使っている。魔物の特殊な肉体を持たない人間にとっては魔物の肉は死に至る毒であった。

 しかし私は【不撓不屈】のスキルによって死に至らずに身体を成長させていたのだ。


 しかも魔物のスキルも得ていた。


 私は笑う。

 力を得た。

 もう私は殺されない。

 私は私の思うがままにこの世界で生きるのだ。

 いずれは私をこの世界に呼び込んだ奴も殺そう。きっとロクでもないやつだ。

 しかし私はまだ力不足。力を得るためにしばらくはこの森で力をつけていこう。


 魔物はいっぱいいるのだから。


「はははっ! 復讐パーティーの始まりだ!」





 ◯お知らせ

 スキルを変更しました。

 【月日之写身】→【天照之写身】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る