54ロリ 開会式―開会式


『遠方から遥々帝都までお越しいただいた観客の皆様、選手の皆様、前週祭はお楽しみいただけましたでしょうか? いよいよ武闘祭の予選が開始されます。勝つか負けるか、本戦に上がれるのは各グループ五人です! 闘志を滾らせ全力で挑んでください!』


 司会の声が拡声器によってコロシアム中に響く。


『まずは! 開会の言葉を帝国皇帝陛下より頂戴いたします!』


 アッガースは席を立ち、前面の開口部からコロシアムを見渡せる位置に立つ。そして拡声器を使わずに声を張る。


「皆の者! 持てる全ての力を用いて戦え! 健闘を祈る! アルタイル帝国皇帝アッガース・プロイツ・クロイツ・ヴァン・アルタイルの名において! 第五十三回帝国武闘祭の開会を今! 宣言する!」

うおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!


 爆発とも言える大声量がコロシアムを震わせる。


『続きまして、特別ゲストシルヴィ様とクルシュ様よりお言葉を頂戴いたします』


 私とシルヴィは事前の打ち合わせ通りに先ほどアッガースが立っていた所に行きコロシアムを見渡す。


『えっと、特に言う事はないけど、ボクから言うとすれば全力で! 真剣に! 戦ってください!』


 シルヴィは拡声器を使って一言。

 次に私もシルヴィから拡声器を受け取り一歩前に出る。

 ここからは闘技場の全てを眺めることができ、それらを見下ろす。人で埋め尽くされた観客席、そこにいる全ての人が今私に注目している。「幼女じゃねぇか」「あの幼女誰だ?」などと私が何者か推察する者達。中には噂を知っている者もいるようだ。

 そして一通り見回した後私は簡潔に一言を発する。


『せいぜい私を楽しませろ。以上だ』


 ふむ、少々傲慢だったか?

 そんなことを考えながら席に戻る。


「大層なこと言うじゃねぇか、クルシュ」


 アッガースは私をニヤニヤとしながらからかう。ほっとけ、と私は無視する。


『さてさてさて! それでは早速予選第一試合を始めましょう! 第一グループは闘技場に集まってください!』


 司会の声で徐々に闘技場に人が集まる。二メートルはあろう筋肉の塊がちらほら、女性も一定数いる、魔法使いに剣士など、人族に獣人族、種族も性別も戦い方もバラバラな百人が一同に会する。


『ルールは至ってシンプル。場外で敗退、気絶で敗退、降参で敗退! 最後までそこに立っていた者の勝ち! 勝者五名は本戦に進めます!』


 参加者は皆真剣な面持ちだ。だが中には余裕そうな顔をしている者もいて、勝てると確信しているのだろう。


『さあ! それでは鐘の音によって試合開始です!』


 数秒か十数秒か沈黙が流れ、緊張がピリピリと伝わってくる。


ゴーーーーーーーーーーーンッッ!!!


 戦いの火蓋は切られた。

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