61ロリ 着替え
「お待たせ。何着か持ってきたよ。せっかくだから試着して行きな」
カーラさんはそう言って私を試着室へ案内する。
「とりあえずこれを着てみな」
私は渡された服を持って試着室に入り、早速着替える。
「げ、これは……」
私は渡された服を見て少し引く。なぜならこの服がゴスロリの服だったから。
着ようか着まいか迷う。
「クルシュー、まだー?」
はぁ、着るか。
着るのに少々手間取りようやく着れた。試着室の中にある鏡で自分を見てみると、先程とは別人のような格好だ。それに自分で言うのも何だがとてもつもなく可愛い。にこっと笑ってみる。うん、可愛いがどこか怖い。
さて、シャッと仕切られていたカーテンを開ける。
「おぉやっぱり似合うじゃないか」
「クルシュ、すごいよ! めちゃくちゃ可愛いよ!」
シルヴィは大絶賛だ。私をベタベタと触ってくる。あ、こらっ、スカートをめくるな! そして見るな! 何が「白か」だ! 阿呆め!
黒を基調としたこの服は私の白髪とよく似合う。それにちらと肌が見えて艶かしい。フリルが多く動く度にひらひらしている。
だがこれを着て外に出るのは相当に勇気が必要だ。
「カーラさん! これください!」
「おい、シルヴィ!?」
買うのか!? これを!? 私は着ないぞ!?
そんな私の訴えを無視するシルヴィ。
「私の趣味だったんだが……」
(店主の趣味だったのか)
「まあいい会計は全部の試着が終わってからだ。じゃクルシュちゃん、次はこれだ」
私は試着室でまた着替える。
鏡を見る。うん、これもまたよく似合っている。
黒のタイツに黒のスカート、紺のシャツのようなもの、全体的に暗い印象を受けるが私の白い肌と髪で良いバランスが取れている。
それにこれだと外に出てもおかしくはない。今度ギルド総本部会議が開かれるのでその時の衣装にいいかも知れない。
シルヴィはこれも絶賛し、購入を決める。
「さあ次だよ!」
私は次の服を受け取り着替える。
購入。
着替える。
購入。
着替える。
購入。
着替える。
購入。
それを四度ほど繰り返しようやく最後の服を着る。
さりげなくついたフリル付きの白のシャツ、紺のロング丈のスカート。今までの服とは違い落ち着いた雰囲気のある服だ。
「可愛い……」
シルヴィはそう言ってただ私を見つめるだけで何も発さなくなってしまった。大丈夫か?
「カーラさん全部買います」
「毎度〜」
ようやく言葉を発したかと思えばこれだ。
シルヴィは懐から革袋を取り出し金貨を出し支払いをする。
「あ、これ今着て行っていいですか?」
「ああ、いいよ。他の荷物はホテルに送っておくよ」
「ありがとうございます」
私は最後の服を着たまま店を出る。買った服をホテルまで送ってくれるサービスがあるとは。
「クルシュちゃん〜、可愛いよ〜」
「ちゃんはやめろ」
シルヴィが突然デレだした。おっさんのように私に纏わり付き頭の匂いを嗅いでくる。同時に手で触れることも忘れない。
「そろそろ離れてくれ」
「いや〜」
「離れろ」
「いや〜。やめて欲しいなら全力で拒否すればいいのに」
「まあそこまで嫌ではない、からな」
「クルシュ」
実際そこまで嫌ではない。美少女に纏わり付かれて嫌がる男などいようか。いや、いない。
するとシルヴィは私を強く抱きしめる。
「お、おいっ!?」
「あぁ〜可愛い。このままお持ち帰りしたい」
「どこにだ!?」
「あっ、そうだ。もうそろそろ第二試合も終わりそうだから人で混む前にレストランでお昼食べよ」
「あ、あぁ」
パッとあっさり私から離れるシルヴィ。そして私の手を引いておすすめのレストランへと案内される。
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