4ロリ スキル整理

 黄昏時、私は湖のそばで地平線に落ちる夕日を眺めていた。


 転生からどのくらい経っただろうか。

 一、二ヶ月は経ったかもしれない。


 私はこの数ヶ月、魔物を殺して喰ってを繰り返していた。ほとんど全ての種類の魔物を喰ったのではないだろうか。苦戦もあったがそいつらは全部私の胃の中だ。

 魔物たちも私を怯えたのか姿を見せなくなった。姿を一目見ただけで私が少し引くほど、必死の形相で逃げていく。まあすぐに捕えて喰うのだが。


 あれほど激しかった復讐心も萎えてはいないものの大分落ち着きを取り戻していた。

 私はせっかくの平穏だからと、私は今スキル整理をしていた。


 何を得ていて、何ができるのか。

 それを知っているだけで戦い方も変わってくる。

 知は力なり。


 ここが異世界ならステータスも表示できるのでは? と今更ながら気づいた私。

 早速――


「ステータスオープン」

……シーン……


 何も起きなかった。


「ステータス表示、オープン、ステータス……」


 思いつく限りの言葉を口に出したのだが結果何も起きず。

 もしかするとこの世界にはステータスという概念が存在しないか、はたまた別の方法――魔道具などを用いてでしか見れないかもしれない。


 ステータス表示は諦めて、スキルを整理するとしよう。本能でスキルが分かってよかった。


 それから二日ほどかけてスキルを把握、そして戦い方を考えた。

 魔物から得たスキルは軒並み進化しており強力なものとなっているが、【天照之写身】と【不撓不屈】は圧倒的だ。やはりチートだ。


 整理していて分かったが【天照之写身】はいつでも使えるわけではなかった。

 まず太陽が出ている時、すなわち晴れの日の日中。

 また雲の隙間から太陽が出ているときではなく連続して太陽の光を受けている時にしか使用できない。

 もちろん今のような夜には使えない。使おうと思えば使えるが使った後は必ず反動で体が倦怠感に襲われる。


 まあこんなチートがいつでも使えたら恐ろしい。

 そしてこれ以上詳しいことはわからなかった。日をその身に宿すとはどういうことか全くわからん。

 だが使えさえできればいいのだ。


 他にもいろいろあったので並べてみよう。


【火魔法Lv.5】

【水魔法Lv.4】

【風魔法Lv.5】

【土魔法Lv.4】

【雷魔法Lv.5】

【魔力操作 Lv.5】

【身体強化 Lv.6】

【不壊蜘糸 Lv.4】

【空中飛行 Lv.5】

【気配感知 Lv.6】

【気配遮断 Lv.5】

【無音移動 LV.4】

【限界突破 Lv.3】

【状態異常耐性 Lv.3】

【物理耐性 Lv.4】

【魔法耐性 Lv.5】


 うんヤバい。

 十分チートだ。

 これなら夢の異世界無双も可能か?


 私は自分のチートぶりに驚く。


 さて私は湖を覗く。

 写るのは、一部返り血がによって赤くなり洗っていないためにボサボサな白い髪、そして綺麗な金色の瞳。着ていた布は元の色を失い真っ赤になっており所々破れたりしてボロボロだ。

 そして顔つきも変わっている気がする。


(変わったなぁ)


 つい数ヶ月前まではただの男子高校生だったのに今では残虐な復讐系幼女だ。


 すでに数十と死んだ。

 異世界の残酷さを知り、堕ちて魔物を喰った。


(人とはこんなにも変われるのだな)


 私は今までとは真逆の容姿と性格をしている。

 もう元に戻ることはできないだろう。地球に帰れたとしても元の日常に戻れない。密かに恋していたクラスメイトの生徒副会長も仲の良かった友達も、皆んな今の私を知れば避けるだろう。

 しかし自分で選んだ道だ。

 それならその道を進むのみである。


「よしっ!」


 私は水を顔にかけ気合を入れる。

 そろそろ神樹に向かうとしよう。


ズドーンッ!!


 そんな時、大きな音が響く。

 音のした方を向けば巨大な見覚えのある怪物がいた。


「キュワァァァァァァ!!!」

「……ゴジ◯か」


 ゴ◯ラのような大きな怪物が立ち上がりこちらを見ていた。


 今までに見たことがない怪物だ。

 あの巨体ならどこかで見かけてもおかしくないのだが……ああ、そういことか。

 私は奴が土をかぶっているのを見て地中に隠れていたと理解する。


 あいつがこの森のボスかもしれない。

 それほどの強者特有のオーラを放ち、山を相手にしたような圧倒的な威圧感を感じる。今までの魔物の比ではない。


 足が竦む。

 恐れているのか?

 私が?

 あれに?


 でも私はもう逃げない。

 敵は全部、殺す!


 私は怪物と相対する。

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