2ロリ 決着

 体から煙を出し燃えているゴ◯ラ。

 体内から、自らの炎によって爆発し奴は動かないでいた。


 殺した――そう確信したのは早かったらしい。


「ギュアアアアァァァァァァァッッッ!!!」

「ッッ!!??」


 私はすぐさまその場から離れる。


 奴を見ると、青白い光の線が体に浮き出て、まさに覚醒したような状態だった。

 今までよりも強くなっているのが肌で感じる。


(私もあれを使うしかないか……)


 私は覚悟を決めて【天照之写身】を発動する。

 確実に後で動けなくなるだろう。

 しかしここで使わなければ意味がない。今の私は前回と違って強くなっている。だから【天照之写身】を使えば奴に致命傷を与えられるかもしれない。


 私は【天照之写身】を発動する。


 私と奴から溢れ出た膨大な魔力によって大気と地面を震わせる。

 木々は今にも根から吹き飛ばされそうであった。


 奴も私の力に驚いている。


(行けるっ、このままなら。いや行くしかないっ)


 私は空を高速で飛び奴に接近する。

 奴も今まで以上の速さで腕を振るう。


 間一髪のところでアクロバット飛行をして避け続ける。一度でも当たってしまえばかなりのダメージを負ってしまう。

 だから極限まで集中して、奴の動きを見極める。

 スキルを得たのか、先ほどより集中して奴の動きを見ることができた。

 そして攻撃を避けつつもある仕掛けをしていく。


 やっと仕掛けの準備も終わり、魔法を発動する。


「ゴ◯ラは要冷凍!」


 発動した魔法は相手を凍らせる魔法。

 同時に仕掛けも発動し奴を水浸しにする。

 その二つの魔法によってゴ◯ラのような怪物を完全に凍らせることができた。

 魔法だからできたことだ。


 奴は鳴りを潜める。

 ピクリとも動かない。

 しかし――


ピキパキバキバキバキバキっ

「うそん」


 氷にヒビが入る。

 そして奴は氷を砕いてしまう。


「ガアアアアァァァッァァァァアッァァァッ!!」


 奴は怒りの雄叫びをあげる。

 奴は生物の範疇を大きく越えていた。

 しかし奴の行動がだいぶ鈍い。


(今がチャンスっ!)


 私は奴に爆撃魔法を食らわせ徐々に消耗させていく。

 奴もただではやられないようで最大の火炎放射を行う。

 周囲一帯の森が燃える。特に奴の近くは灰になっていた。


 私はなんとか奴の攻撃を防ぎ切り、やっと――


「これで終わりだあああぁぁぁぁぁっっ!!」

「ガアアァァッッ!?」


 私は奴の頭に近づき、強烈な爆裂魔法を食らわせる。

 奴の頭が爆ぜる。さすがの奴も頭を失えば死に至るだろう。


 私は爆発の影響で遠くまで吹き飛ぶ。

 しかも体は限界を迎えていた。

 【天照之写身】を解除する。すると全身の痛みが私を襲う。さらに疲労も津波のように私を襲う。


(奴は死んだっ)

(私が勝ったっ)

(私は生き残ったっ)

(私はこれからも私の道を進むっ)

(私の邪魔をする敵は殺すのみだっ)


 私は再び思いを滾らせ、深い深い闇に意識を落とす。


『森の王ガジーラの討伐を確認。神樹より個体名クルシュへ。汝を新たな森の王と任命いたします』


 眠りにつく寸前、機械的なされどどこか優しい声が脳に響いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る