1ロリ 地獄を与える『死に戻り』

 私は死に戻りによって再び目覚める。

 場所は変わらず湖の側。

 熊から逃れるために走って逃げて、別の魔物から逃げて、また別の化け物に襲われて死んだ。


 もう一度生き返り、走って逃げて喰べられる。


 生き返って、走って逃げて、殺されて。

 生き返って、走って逃げて、殺されて。

 生き返って、走って逃げて、殺されて。

 生き返って、走って逃げて、殺されて。

 生き返って、走って逃げて、殺されて。


 エンドレス……


 幾度も生と死を繰り返す。

 死ぬのは痛い。腕が千切れたり足が千切れたり首を切られたり炎に包まれて燃えたり、とにかく死ぬ際はとても辛い。


 痛い苦しい辛いもう終わりたい。


 何度そう思ったことか。


 だけれど終われない。


 永遠の死を望みながらも、本能が生を望む。


 矛盾した欲望が脳をよぎる。


 どれだけ走って逃げようとあいつらは私を狙ってくる。


 そして無残に殺される。


 喰べるため、遊ぶため、理由は様々。


 だがどれも私を格下と舐めていたがために。


 途中、逃げるのをやめたこともあった。


 でもただ喰われることのループに耐えきれず、結局は逃げた。


 人間が、魔物の獲物になるだなんて考えたことはあるか?


 人間が、自分を獲物としか思っていない魔物に喰われるのは想像できるか?


 怖いし痛いし辛いし苦しいし。


 幾度も生と死を繰り返すうちに私の心は変わった。いや変わらされた。


(なぜ私が逃げ続けなければならない。


 なぜ私が殺されなければならない。


 なぜ私が喰われなければならない。


 なぜいきなり幼女に転生した私が、こんな理不尽な目に合わなければならない)


 私の心は黒く黒く染まっていく。


(誰も助けてくれない。


 全てが敵。


 全てが私の敵。


 私はもう逃げない。


 私を殺す?


 それなら逆に私が殺して喰ってやる。


 敵は全員、私が殺す)


 私はこいつらに復讐をすることを誓う。


 そして幾度目か分からない死を迎える。

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