33ロリ 街の襲撃
今話の冒頭にちょちょっと書くだけが一話分になってしまった……まあいいや。
ついでに読者へのお願い。
評価と応援よろしくお願いします。作者が喜びます。
◇◇◇
バズビオンの街は混乱に包まれていた。
――盗賊の襲撃
初めての事態に一般人だけでなく冒険者も慌てふためていた。
そんな冒険者を纏めたのはグルドとゲルドである。そしてそれまで右往左往していた冒険者たちは落ち着きだす。
それからただちにギルド・バズビオン支部支部長が指示を出し街の防衛を開始した。
襲撃を受けているのは南側の門。
そして門に着いた冒険者は門兵たちと共闘して盗賊らの撃破を始める。
ある者は剣で盗賊を薙ぎ倒す。
ある者は矢で打ち倒す。
ある者は魔法で吹き飛ばす。
冒険者たちの防衛が優勢のように思えた。
だが――
「なんだこの数は……殺しても殺しても減らねぇ」
――数が多かった。
推定二百。
あくまで推定である。だからそれ以上に数はいるはずだ。
最初こそ次々と盗賊を倒して行った冒険者たちだが徐々に疲労は蓄積され、減らない敵に精神もやられていき、次第に劣勢に追い込まれる。
それでもなんとか門は死守されていた。
ここだけは守らなければ――。
ここを守らなければ家族が――。
そんな熱い執念で守っていた。
だが一人の盗賊の登場によってあっさりと門は突破された。
ドゴッ!!
「……進め」
「「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
獅子の仮面を被った男だ。その男はただ門を殴った。それだけで強固な木の門は破壊された。『世界最恐の森』に面している門ほどではないが、それでも魔物の襲撃を防ぐほどの強度は持っている。
その門が破壊された。
冒険者たちの顔に絶望が現れる。
「諦めるな!」
「諦めたら家族が! 市民が死ぬぞ!」
「いいのか!」
「いいや、よくない!」
「せめてボスがお戻りになるまで守れー!」
グルドとゲルドが発破をかける。
そうだここを守らなければ大事な家族が、心優しい市民たちが、死んでしまう。
そのことを思い出した冒険者たちは再起する。
グルドとゲルドが男に接近。
武器を振るう。
グルドとゲルド、兄弟の息の合った攻撃は男に直撃する。
冒険者たちは「やったか!」と期待する。
しかしそんな期待はすぐに打ち砕かれた。
「邪魔だ」
「ぐっ……!?」
「ぐおっ――」
無傷だった男は腕を払ってグルドとゲルドを吹き飛ばす。グルドとゲルドは民家まで吹き飛ばされ壁に激突し気絶する。
たった一動作。ただそれだけでこの場にいる最高ランクの冒険者が再起不能となった。
絶望はそれだけではない。
「俺様はグルージャ! アルバル盗賊団の頭だ! この街は俺様が貰う!」
アルバル盗賊団のお頭グルージャ――それは帝国では名の知れた大悪党である。
元
そんな彼が率いるアルバル盗賊団は帝国軍ですらも討伐が困難、去年やっと一人の少女によって壊滅した、はずの盗賊団である。
なぜここにいるのか。壊滅したはずではないのか。もしかして少女が討ち漏らした?
そんなことを頭に思い浮かべるがすぐに振り払い現実を見る。
盗賊たちによって蹂躙劇が開始された。
下っ端の盗賊とは渡り合えても、グルージャだけは圧倒的な力の前に屈し冒険者たちが殺されていく。
途中、依頼から急いで帰ってきた冒険者たちも加わるがすぐさま退場される。
そうして盗賊団の歩みは進み、ついに市民たちの元まで来た。
後退して生き残った者含め冒険者の数は数十。
市民たちも、冒険者も、受付嬢も、支部長も、もはやここまでか。そう命の覚悟をした時だ。救世主が現れたのは。
「そこの盗賊、私がいない間に散々やってくれたなぁ。その代償、高くつくぞ」
皆が声のした建物の屋根を見上げれば、そこには大きな狼と、それに跨がったクルシュの姿。
たった今、クルシュが舞い戻った!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます