35ロリ 事後処理
私は胴上げが終わり下ろされた後南門に向かった。
やはり多くの冒険者が血を流して倒れていた。その中にはグルドとゲルドの姿もあった。
「グルド、ゲルド、いい奴だったよ」
目を瞑って眠っている二人に話しかける。
元は悪い奴らだったが優しい冒険者になった。私におすすめの店を教えてくれたりしてくれた。
二人を失って惜しいと思った。
「ボス……まだ、生きてるっす」
「ボスぅ、まだ生きてるから勝手に死んだとことにしないでくれませんか」
「……なんだ、生きてたのか」
二人はまだ生きていた。
さっきの私の気持ちを返せ。
まあ生きているに越したことはないのでポーションをかけてやる。
腕の骨が折れており、背中から多少血を流していたがポーションにより血は止まる。
「ありがとうございますボス」
「死ぬかと思いましたよ」
「ああ、生きててよかったな」
二人は広場に開設された医療所へと向かっていった。まだ完全には治っていないのでまだ治療が必要だ。
「ふむ、被害はあまりないようだな」
私が言った通り物的被害はほとんどなかった。せいぜいがグルドとゲルドがぶつかった民家の壁と門ぐらいだ。それ以外は特に壊れてはいなかった。
壊れた門をくぐって外に出るとそこには多くの盗賊の死体が転がっていた。
「冒険者たちも頑張ったんだな」
私は亡くなった冒険者たちを想う。
さて今回のアルバル盗賊団の街襲撃事件は帝国内でも大々的に取り上げられた。
曰く、アルバル盗賊団が生き残っていた!
曰く、アルバル盗賊団がバズビオンの街を襲撃した!
曰く、しかし一人の冒険者が盗賊団を壊滅させた!
曰く、その冒険者は数日前に登録したばかりの新人だった!
そんなとこだろう。
今回のことに際して私は
さすがに一支部長では私を
今回の件はそれほどのことだったのだ。
そして話は少し変わるが、帝都より帝国兵とギルド職員が数日で来るらしい。
どうやら盗賊の頭の首を回収するためだそうだ。その時に私に莫大な謝礼金も支払われるとか。
「――ということだ。今回の件、本当に助かった。改めて礼を言おう」
私はそれらの話を支部長室で支部長より聞いていた。
支部長は何度も頭を下げる。もし私がいなければこの街は盗賊たちによって滅ぼされていたのである。
「もう礼は十分に受け取ったから頭を上げてくれ」
「あ、ああ」
「それで話は変わるんだが私はそろそろこの街を出て帝都に行く」
「なにっ!? 帝都に、か?」
「ああ、私も私の目的があってな」
「そうか……分かった。そうだ帝都に行くなら帝国兵たちと一緒に行くといい。快く乗せてくれるはずだ。私からも言っておこう」
「ああ、ありがとう」
私はお茶を啜る。
中々良い茶葉を使っている。
「じゃ、私はそろそろ帰る。街の様子も見とかないとな、盗賊のこともあるし」
「ああ常々ありがとう」
私は支部長室を出て街を見回る。
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