36ロリ テンプレの反応

 盗賊の襲撃から三日が経った。

 街の復興――と言っても門の修理と壁の修理だけだが――も終わりいつも通りの日常を取り戻していた。

 ただいつもと違うといえば夜の街の活気のなさ、だろう。あの襲撃で多くの冒険者が命を散らした。友人を亡くしたものもいるようで三日経った今でも寝込んでいたりする。


 さて、本来なら帝国からこの街まで馬車で五日ほどはかかる道のりなのだが、かなり急ぎ足で駆けつけたのかもう帝国兵とギルド職員がやって来た。

 帝国兵たちはこの街の衛兵と共に盗賊の頭の首を保管している場所へと案内する。そしてかのアルバル盗賊団か確認し荷馬車に運ぶ。

 帝都からやって来たギルド職員は一先ず支部長室へ向かう。


 私は盗賊の頭を倒したものとして支部長室にいる、のだが――


「お嬢ちゃん、今から大人同士で大事なお話があるの。だからお家に帰れるかな」

「おいお前らその方は――」


 支部長が職員を止めさせようとする。


「――君、まだ小さいんだからここにいたダメでしょう? ここの職員は何をしているの?」

「――おいもう止めろ」

「――あっ! もしかして支部長の娘さんですか!? いつ生まれたんですか!? もっと早く教えてくださいよぉー」

「…………」


 なぜそうなったのか詳しく聞きたいが私は支部長の娘になったらしい。

 支部長もついには口を閉ざしてしまう。

 おめでとう! と祝いの言葉を送ったり私を子供扱いする職員たち。

 私は殺気を放って強制的に黙らせる。


「「「「――ッッ!?」」」」

「一度黙れ。盗賊の話をしに来たんだろ?」

コクコクコクっ


 職員たちが一斉に押し黙り、全身を震えながら首を縦に振る。赤べこのようだ。

 支部長はため息をつきながら頭に手をやる。


「やっぱりこうなったか」

「分かってたなら先に言っとけよ」

「すまん……」


 殺気を解くと職員んたちは膝から崩れ落ちて肩で息をする。


「お前たち、この方は今回の盗賊団の頭をたった一人で倒した方だ。見た目こそ幼女だがすでに大人の女性だ。私の娘でもない。それと私はまだ独身だ」


 最後に支部長の悲しい事実を知ってしまったが職員たちはその前の言葉に気を取られていた。


「え、この子が頭を……?」

「こんなに可愛いのに……?」


 ――私が頭を倒したということに。

 さも信じられない、と言った顔だ。その気持ちは私もわかる。年端もいっていなさそうな子供が盗賊団の頭グルージャを倒したというのだ。嘘だ、といってくれた方がいいだろう。

 だが事実だ。私が頭を倒したのは変わらない事実である。


「ああ、この方がこの街を救ってくれたのだ。この方がいなければすでにこの街は滅んでいただろうな」


 職員たちが私のことをジロジロと見てくる。


「さ、そんなことより盗賊団の話だ」

「……っ、え、えぇ、分かりました。ではまず――」


 私のことはさておいて、話は進む。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る