概要
母親から吸血種への売血を強要されていた花菜(はな)は、家を逃げ出し、幼馴染の駿(しゅん)に助けを求めた。
二人は十年ぶりに再会する。
かつて両親を吸血種に殺され、人生を狂わされた駿は、「狼」―—吸血種を葬り去る者になっていた。
駿への想いが募る花菜と、彼女の想いを知りながら「兄」として接する駿は、共に暮らすことになったが。
ゆっくりと暗い底に沈みながら、幸せに手を伸ばす二人のお話。
☆.。.*☆.。.*☆.。.*
【登場人物】
行野 花菜:十九歳。吸血種相手の売血者。
仕事も育児もしない母のもとで育つ。
幼い頃からずっと駿に恋をしている。
如月 駿:二十四歳。自宅で仕事をする傍ら、裏で「狼
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!暗闇の中で見つける温かな光
まず、作品のタイトルがとてもかっこいいです。響きもそうだし、文字の並びのビジュアルも。
メインの二人のキャラクターの重苦しい設定を知れば、この物語に単純に幸せな結末は待っていないのだと想像できる。その物悲しい雰囲気の中で、花菜と駿が少しずつ築いていく大切なナニカが綴られていく物語。
二人を取り巻く数少ない友人たちとの大人な関係性が、とても心地良い。優しい人たちだからこそ、その心に大きな傷を負った出来事が痛々しく感じられる。
物語は一人称視点で進んでいくため、広くというよりは、深く深く人物の心情が描かれる。
雲から僅かに覗く晴れ間が、二人の心に重なって見えた。 - ★★★ Excellent!!!これはきっと、幸福な悲恋。だから涙せずにはいられない
本作、実は最低四回は読んでいます。
一回目は別の投稿サイトで。二回目は改稿前のもの、三回目はその再読で。そして今回の改稿後の四回目。なので登場するキャラも話の流れも結末も全部知っていて覚えていますが、それでも泣いてしまいました。
主人公の花菜と彼女の幼馴染みの駿は、十年前の事件のせいで以後過酷な人生を送ってきました。
だからこそその二人がようやっと得られた幸福は、端から見たらごくありふれた些細なものでも何物にも代えがたいという事が非常に強く伝わってきます。伝わるからこそ、物語を追っていくにつれて二人が過ごす温かな日々が本当に脆く儚いという現実も一緒に突きつけられて……。それだけで終わるなら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これは、幸せを掴み取る物語
この作者様が以前、投稿されていた同名タイトル作品の改稿版です。
ストーリーの流れはそのままに、より凝縮され、読みやすく生まれ変わったそうです。
連載は始まったばかりですが、私は改稿前の作品を読了しているので、是非、皆様にお勧めしたく、レビューを書かせていただきます。
「吸血種」と呼ばれる、人間とは違う種族のはびこる世界の中で、ヒロイン花菜(はな)の境遇はとても過酷です。
そのため、彼女は少し卑屈です。
けれど、それは「それまで」の彼女の生き方から仕方のなかったこと――。
やがて彼女は、自暴自棄にならずにきちんと生きることを考えます。
大切な人を幸せにして、自分も幸せになろう…続きを読む