これはきっと、幸福な悲恋。だから涙せずにはいられない

本作、実は最低四回は読んでいます。
一回目は別の投稿サイトで。二回目は改稿前のもの、三回目はその再読で。そして今回の改稿後の四回目。なので登場するキャラも話の流れも結末も全部知っていて覚えていますが、それでも泣いてしまいました。

主人公の花菜と彼女の幼馴染みの駿は、十年前の事件のせいで以後過酷な人生を送ってきました。
だからこそその二人がようやっと得られた幸福は、端から見たらごくありふれた些細なものでも何物にも代えがたいという事が非常に強く伝わってきます。伝わるからこそ、物語を追っていくにつれて二人が過ごす温かな日々が本当に脆く儚いという現実も一緒に突きつけられて……。それだけで終わるなら「後味が悪い悲しい話」で終わるんでしょうが。

確かに辛い展開に対して泣く事もありました。でも、最後までこの温もりは穢される事は無かった。最後は……ああなってしまいましたが、それでも確かに二人は救われた。その紛れもない事実にもほっとし、泣いてしまうんです。

『狼よ、白き薔薇を抱いて眠れ』、個人的に作者様の中で一、二を争うくらい好きな小説です。是非読んでみてください。

その他のおすすめレビュー

實鈴和美さんの他のおすすめレビュー26