第28話 暗号解読「風信帖」

 「風信帖」は、空海の書道の代表作であり、日本最初の名筆である。国宝である。

 わたしは、空海の「風信帖」は暗号文であると主張し、ネットでバカにされた。わたしはそのことをとても恨んでおり、わたしによれば、三筆、三蹟などと呼ばれる書道の名文はすべて暗号文である。そもそも、中国の書道の代表作である王羲之の「蘭亭序」が暗号文であり、解いた記憶があるが、今ではどう解いたか忘れてしまった。おぼろげな記憶によれば、皇帝が平民から善男善女を集めて遊び暮らすという皇帝機密について書かれたものである。だが、わたし以外にそれを信じるものは少ない。

 ちなみに、空海の「風信帖」の暗号の解き方は、簡単であり、縦に書いてあるものを横に読めばよいだけである。

 「風信帖」の一番上の文字を横に読むと、「風被恵不法随願及法仏降不」と読める。これは、仏から先を読まないという条件をつけて読むと、「風、恵みを得、法に則らず、願いのままに、法に及ぶ、仏降不」と読める。これは、「風(君子の徳? ポップ文化? 左道?)は得をして、法に縛られることなく、思いのままに行動でき、やがて、それが法になる」というちょっとびっくりするような世の中の奥義について書かれたものである。と説明したら、バカにされたことをわたしはとても恨んでいるのである。このように空海の「風信帖」は暗号文なのである。

 なお、わたしは自分の書いたものがひょっとして大人気になって大旋風を起こすかもしれないなどと妄想しているため、警告文を書くことにした。空海の「風信帖」に書かれた文化は中世では面白かったかもしれないが、現代の我々がもつべき思想は、あらゆるものをデジタルクールに全網羅して解析し、最適解を探すことであると思うため、法に則らない行動は将来、全滅するであろうと予測している。かように、わたしは常識人であり、バカにされたことを恨んでいる。

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