第21話 宇宙の果てであったこと
1
宇宙船うましか号は、ついに宇宙の果てにたどりついた。
2
宇宙の果てを見て、うまは、
「何にもないところだなあ」
といった。
しかは、
「宇宙の果てに来てわかったことは、いちいちこんな遠くまで来る必要はないということだ」
といった。
3
うまはしかに聞いた。
「なあ、これからどうやって帰るんだ」
「話しかけないでくれないか」
しかは冷たくいい放った。
「こんなこと考えたこともなかった。帰り方がわからないよ。というか、わたしたちはもう二度と故郷へは帰れないんじゃないかな。なんせ、すごく遠くまで来たからね」
「しゃべらないでくれないか」
しかはうまに冷たい。
「なあ、ひょっとして、宇宙の果てを目指す時、他の誰も志願しなかったのは、宇宙の果てについても何もなくて、帰ることもできないからじゃないのか」
「そんなこと、わたしはとっくに気づいていた。今になって、気づくきみは頭が悪いのではないかな」
「じゃあ、しかは何で宇宙の果てに?」
「それはね、もしかしたら、宇宙の果てから見た宇宙は、時間の終わりかもしれないと思ったからだよ。この何もない宇宙の果てが時間の終わり、宇宙の最後の姿なのかもしれない」
「どっちにしろ、わざわざ見に来る必要はなかったね」
うまはそういって、黙りこんだ。
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