第8話 恋愛研究家

「あいつにはちゃんと彼女がいたんだ。お互いに愛し合っていたらしい。かわいい彼女だったよ。だけど、ある時、恋愛とは何なのかを知るために、わざとあいつは浮気したんだ」

「贅沢な野郎だな」

「まあまあ。それで、大喧嘩さ。なぜ浮気したの、わたしのこと好きじゃないの。そんなことばの劇団行進さ。それで、あいつは彼女に聞いたらしい。『僕のことを愛しているのかい?』って。そしたら、あいつの彼女は、それはわかんないって答えたんだ。まだ若かったからね。あいつの彼女には本当に正直にわからなかったんだ。あいつは激怒した。それから、あいつは愛とは何なのかの研究に没頭していった」

「ふうん」

「あいつは、人が一生に何回セックスするのか、本当の初体験はいつか、一生に何人と付き合うのか、何回浮気するか、一生で何回オナニーするか、調査したんだ。給料の余ったお金は全部つぎ込んだらしい。あいつは本当に純粋に恋愛というものを研究していたんだ」

「そりゃ、すごいね」

「だが、思うようにデータがとれず、だんだんチンピラまがいなやつに狙われるようになって、いつの間にか変態の研究をしていた。あいつの人生は落ち目だった。彼女にもふられて、一人ものになり、どこからどう見ても、ただの変態さ。そんなあいつを見て、おれの彼女が『気持ち悪い』っていったんだ。おれは生まれて初めて彼女をぐうで殴ったよ」

「殴っちゃいけないよ」

「いや、殴る。これで、お話は終わりさ。おれは殴るね」

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