第3話 副リーダーさんは扱うのがお上手
「ねぇクロウ。今日の活動はダンジョン攻略をしようと思うのだけれど」
数分経った頃。絹糸のような繊細な金髪を靡かせながら僕の所に来た少女がそう切り出した。
この子はルルシーラ。
副リーダーのポジションにいる美人なお姉さんだ。
普段こっちがなにかと指示を出しているから、僕のリーダーとしての役目は全くと言っていいほどない。
まあ僕みたいな不細工に指示されてもムカつくだけか。
「ダンジョンねー」
「あら? 机にうつ伏せて……。あまり乗り気ではなかったかしら?」
「やる気……うーん、やる気はないね。行くとしたらどうせ
「当たりよ」
別にダンジョンに行くのが嫌いな訳ではない。問題なのは場所。
【
文字通りゴブリンが集まっているダンジョン。
前世の僕はゴブリンと言えば簡単に倒せる雑魚モンのイメージがあった。しかし、この異世界では結構強い方に入るらしい。
ゴブリンは他の魔物より知能が優れており、考えて攻撃を仕掛けてくる為、非常に厄介だ。
更にゴブリンの中には魔法を使う者もいる。
あと忘れてはいけないのは性欲の塊だということ。ゴブリンの主な性別は男が多いので、たまに女性を攫う事案が発生していると聞く。
それと、アイツら鳴き声がギーギーうるさいんだよね。どうせ戦うならドラゴンみたいなカッコいいヤツが良いなー。
「そのゴブリンの巣にはどうやら珍しいアイテムが眠っているという情報が入ったわ。これでもやる気が起こらないかしら?」
ピクッ。
その言葉に机にうつ伏せている僕は反応した。
確かに信憑性のある話だ。
ゴブリンは知能もあるし、冒険達からアイテムやお宝を奪って隠している可能性もあるな。もしかしたらレアアイテムがあるかも。
僕はお宝が好きだ。
理由?
持ってるだけでカッコいいからだ。不細工な僕は外からしかカバーできない。
あと売ればお金になるから。老後の資産もってこいだよね。
「あともう一押し~」
「じゃあこれはどうかしら? ———貴方がこのダンジョンに参加してくれたら今度のギルド会議、私が出てあげるわ」
「よし、乗った」
耳元でそう囁かれた僕は飛び起きてダンジョンに行くことを決意した。
「じゃあクロウはダンジョン攻略に参加するのね。でも1人では心配ね……」
いや僕、それほど弱くないよ?
というかこのダンジョン話、よくよく考えてみれば僕以外でも良かったよね?
「彼と付き添ってくれるひ・と・は~」
ルルが他のメンバーに視線をやりそんなことを言っている。
わざと大きな声で言ってるのは気のせいかな?
「「「「「「「「はい!」」」」」」」」
ルルの呼び方に全員が一斉に挙手し始めたのだった。
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