第8話 お姉ちゃんは甘えたがり

「クロウちゃんのお嫁にお姉ちゃんも立候補する~!」


「おっと」


 僕の背中に抱きついてきたこの子は、ロフィア。

 美人でギルドのお姉ちゃん担当である。

 そして戦いの先頭を率いるほどの実力の持ち主だ。


「ロフィア、僕と不倫関係になりたいの?」


 結婚するなら奥さんって1人だよね? 2人以上はアウトだよね?


「クロウちゃん大丈夫だよ~。ここは一夫多妻だから」


 えっ、初耳なんだけど……。この世界に来て数年は経つけど初耳なんだけど。


「僕なんかよりロフィアにはもっとかっこいい良い人がお似合いだよ」


 僕となんてまさに美女と野獣ブスだよ。それともロフィアはB専なのかな?


「ううん。クロウちゃんじゃなきゃ駄目なの!」


 さらに背中に密着してきた。

 ロフィアの巨乳が僕の背中に当たってる。


 そんなハッキリ宣言されてもなー。


「……考えてはおくよ」


 これで将来は安泰なのかな?

 アリーといい、ロフィアといい僕の奥さんになりたいとか物好きだな。


「前向きにね! ところでクロウちゃん」


「ん?」


「ガルガちゃんとホルスちゃん、黒こげになっている状態だけど、ダンジョンに連れて行けるのかな?」


 2人を見ると未だに黒こげ状態で動かない。死んではいないと思う。


「行けるでしょ。あの2人は丈夫だからポーションでも飲ませておけば大丈夫」


「そ、そっか……」


 僕から離れ、少し落ち込んだ様子になるロフィア。


「でもあの2人とは今、居たくないな。僕の仮面、壊したしね」


 僕は激おこぷんぷん丸である。


「じ、じゃあお姉ちゃんが代わりにダンジョンに一緒に行ってもいい?」


 うーん。このダンジョンごときにギルド内でも戦闘能力が高いロフィアを出すのはなー。


「ロフィアにはルルと一緒に別の案件をお願いしたいんだよね」


 僕たちのギルドには大量のクエスト依頼が舞い込む。依頼は決して小鬼の巣ゴブリン・ネストだけではないのだ。


「そ、そんな~」


「帰ったら僕のできる範囲でなんでも1つ言うこと聞くからさ?それでいいかな?」


 とりあえずこう言ってなだめてみる。

 ロフィアは落ち込むとかなりめんどくさいのでここで機嫌が良くなってくれるといいが……。


「えぇぇぇー!? ほ、ほ、ほ、本当!? お姉ちゃんの言うこと、なんでも聞いてくれるの!?」


「僕のできる範囲であり、1個だけならね」


「~~~! 分かった! お姉ちゃん、他の依頼、頑張るね!」


 凄く嬉しいそうなロフィア。


 普段は凄く面倒見がよく、お姉ちゃんお姉ちゃんしているが、僕には基本的に甘えてくることが多い。


 そんな嬉しそうなロフィアを見守る女の子がいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る