第9話 妹はしっかり者

「クロウさん、いつもおねぇがすいません……」


 申し訳なさそうに近づいてきたこの子は、ラフィア。

 ロフィアの妹でありこちらも姉に劣らずかなりの美少女だ。

 しっかり者の頼れる存在である。


「気にしてないよ。ところで、ラフィア」


「なんですか?」


「僕と一緒にダンジョン行かない?」


 そう誘うとラフィアは目を丸くしていた。


「あの、アルマちゃんが凄く睨んでいるのですが……」


 ほんとだ。凄い険しい顔してる。

 アルマの方を見ると何やら険しい顔というか僕の方を睨んでいるような……。


「アルマ、そんなに怖い顔してると連れて行かないよ? あ、笑顔になった」


 注意したらあっさり笑顔になった。

 それにしても何故、険しい顔をしていたんだろう? あとで聞いてみよう。


「じゃあ僕とダンジョンに行くのはアルマとラフィアね」


 みんなに向けてそう言うとウンウンと首を縦に振ったことから納得した様子だ。


「あの、なんで私を選んでくれたんですか?」


「なんでと言われても……」


 うーん、特に理由がないけど……。


「ラフィアと僕とアルマって同い年だからかな」


「そ、そうですか……。そうですよね……私なんか」


 ラフィアは口を尖らせ、少し拗ねたような仕草。


 まずい回答だったかな。他にもなにか言うか。


「それにさ、ラフィアはしっかり者だから一緒にいてくれると心強いからね。ダメだったかな?」


 さっき拗ねていたのは、ダンジョンに行くのが嫌だからかもしれない。それとも僕といるのが嫌とか?


「い、いえ! 喜んでついて行きます!」


 嬉しそうに返事をしてくれた。今度の回答は良かったらしい。違いが分からない。


「じゃあダンジョンに向けて僕は準備してくるよ。ラフィアかアルマは出発する時に部屋にいる僕を呼んでくれないかな? 頼むよ。みんなも各依頼の準備とかするんだよ」


 あとはルルが指揮を取ってくれるだろう。

 

 僕は最低限の荷物を用意するため先に部屋に戻った。

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